センスのいらないインテリア【スタイリング編】|インテリア選びは「レピテーション」を意識する
「レピテーション」を理解して、
スタイリングに統一感を与える。
お店でのインテリアとの運命的な出会い。
「これ、かわいい!」
「ぜったい部屋に置きたい!」
と思ってお迎えした家具やインテリア雑貨。
それなのに、お家に置いてみると、なぜかお部屋が
ちぐはぐした印象になってしまう。
こんなことありませんか?
単品で見るととってもかわいいんけど、浮いちゃう。。
それには、とても分かりやすい原因があります。
それは、
アイテム同士に共通点がなく、孤立して浮いて見える
からです。
近しい印象のアイテムがなく、なんか浮いて見えている
状態は、まるで「パーティーで友達がいないぼっち」の
ような寂しく、ある意味では悪目立ちの状態です。
せっかく気に入ってお迎えしたアイテムが、そんな状態
では、かわいそうだし、もったいないですね。
なんとなくそれぞれのアイテムが、ちぐはぐちぐはぐ
ですが、そんなお気に入りアイテムが浮いてしまって
も、隅に追いやったり、隠したりする必要はありません。
簡単な対処法があります。
それは、ずばり
孤立してしまわないように、仲間を足してあげる
のです。
これをインテリア用語で「レピテーション(繰り返し)」と言います。
真鍮は、金色で目立つので、単一だと浮いて見えがち
たとえば、真鍮の例を見てみましょう。
真鍮はインテリアアイテムとして人気の素材ですが、
「金色」で目立つため、お部屋の中で浮いてしまい
がちなアイテムです。
「真鍮のペンダントライト、めちゃかわいい!」
と思って購入し、いざお部屋に吊り下げてみると、それ
だけが妙に目立ってしまい、お部屋の調和が崩れてしま
うことがあります。
真鍮の時計や、プレートをレピテーションでグループに
こんなときに使うテクニックが「レピテーション」です。
真鍮の時計だけが孤立しないように、お友達としての
真鍮アイテムを追加するのです。
例えば、壁に「真鍮の時計」をプラスしてみます。
そうすると、ペンダントだけが浮いてしまっている印象
が減り、調和が取れてきます。
フロアライトにも真鍮を取り入れてさらに統一
また、フロアライトと棚の中のオブジェにさりげなく
真鍮を加えることで、さらに空間に対する真鍮の割合
が高まり、フィットした印象を得ることができます。
とっても簡単ですね。
さらに追加して、真鍮を使ったフロアライトなどをプラ
スすることで、さらに統一感と意思を感じるようになり
ます。
インテリアも、人も同じ。
ひとりだと寂しく見えてしまうのです。
お気に入りのアイテムが、お部屋の中でうまく調和しな
い場合は「レピテーション」を意識することで、お部屋
に統一感を与えることができます。
「レピテーション」は、お部屋全体にも、部分装飾にも活用できます。
アイテムをレピテーション(繰り返す)することで、
統一感を持たせるセオリーは、とても万能です。
- お部屋全体のベースを整える「ベーススタイリング」
- ディスプレイや小物などでお部屋を彩る「ポイントスタイリング」
2つのスタイリングのどちらでも共通して活用すること
ができます。
センスのいらないインテリア【スタイリング編】|ベーススタイリングと、ポイントスタイリング
事例をいくつか見ていきましょう。
ベーススタイリングでのレピテーション活用例
お部屋全体の印象を整える「ベーススタイリング」で
も、レピテーションは高い効果を発揮します。
例えば、家具のアイテム選び。
「ナチュラルカラーのオーク材」といった素材とカラー
を決めて、お部屋の中に繰り返し使用します。
上の画像であれば、
- ダイニングテーブルと、チェア
- サイドボード
- 花瓶を載せた台
- 照明(ペンダント/フロア/テーブル)
- ベッド
といった家具を「ナチュラルカラーのオーク材」で揃え
ることで、お部屋にまとまった印象を与えています。
「色や素材を揃えると、統一感が出る。」
というのは、実はレピテーション活用の代表例なんですね。
つる系の自然素材をレピテーション
また、このお部屋では、
- 大きな植物を入れた鉢カバー
- サイドボード上の小さな花瓶
に「つる系の植物」をレピテーションして使うことで、
個性のある自然素材のアイテムを、お部屋に統一感を
感じさせながら、うまくアクセントにしています。
個性的なアイテムも、ひとつだけじゃなく、2つを一緒
に使うことで、孤立せずに、上手に馴染ませることが
できるのです。
シェードの素材をレピテーション
また、さらには
- テーブルランプ
- フロアライト
- ペンダントライト
はいずれもシェード部分をうすい色のリネンシェード
を用いたレピテーションをしています。
これもレピテーションによる統一感の演出です。
織り模様の素材と、色をレピテーション
さらに
- ラグマット
- ベッドスロー
の大きい面積には「織り模様のあるベージュカラー」を
共通で用いることで、ここにも統一感を入れ込んでいます。
シンプルながらも、実は計算されているのです。
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このように、お部屋の空間全体を1枚のキャンバスと見
立てて、共通の要素をもったアイテムをレピテーション
していくことで、統一感のあるベーススタイリングを
実現することができます。
家具やラグ、照明など、お部屋のベースとなる部分を
作る際には、レピテーションを意識してアイテムを選ぶ
ことが大切です。
(下の画像たちは、さまざまな要素をレピテーションし
ています。どの要素がレピテーションされているのか、
ぜひ探してみてください。)
ベーススタイリング スタイリング実例
参考画像
円形レピテーション ほか
円形レピテーション ほか
素材・色レピテーション ほか
形状レピテーション ほか
色レピテーション ほか
素材・円形レピテーション ほか
ポイントスタイリングでのレピテーション活用例
さて、「ベーススタイリング」でのレピテーションの
活用例をご紹介しました。
続いては、ディスプレイなど「ポイントスタイリング」
での活用例をご紹介していきましょう。
例えば、ディスプレイの基本である「三角構図」を例
として、見ていきます。
【動画】センスのいらないインテリア|ディスプレイの基本「三角形飾り」を学びましょう。
三角構図を作るためには「垂直・立体・平面」と、高さ
の異なるアイテムを用います。
が、この3つの組み合わせアイテムを上手に選ぶのが、
難しいというお声をよく聞きます。
△ 上:3つの素材感が、ばらばら / △ 下:3つの素材感が同じ
なんとなく3つのアイテムを寄せ集めても、ちぐはぐに
なりがちですし、かといって、3つが同じ色や素材のア
イテムばかりでは、せっかくのディスプレイなのに、
面白みにかけます。
ここで使えるのが、レピテーションのテクニックです。
ポイントは
3つのアイテムのうち、2つをレピテーションする
ということです。
例えば、小・中のアイテムをチーク素材で揃えて、
大のアイテムを異なる陶器の素材にします。
そうすることで、全体にまとまり感を感じながらも、
1つ異なる素材が入っていることで、面白みも入れ込む
ことができるのです。
3つのアイテムのうち、2つを一緒にするということで
飾るアイテムを選ぶ難易度も、ぐんと下がります。
「統一感と、難易度を下げる」の両方を一気に実現でき
るレピテーションのセオリー。
ポイントスタイリングとして活用するのにも、とっても
便利ですね。
ポイントスタイリング スタイリング実例
参考画像
フラワーベースをレピテーション
黒×円形の雑貨をレピテーション
花器、真鍮のオブジェ、リングホルダーをレピテーション
花瓶、鉢、オブジェの素材・色をレピテーション
花瓶、オブジェの素材・色をレピテーション
円花器、アートをレピテーション
「レピテーション」に活用しやすい
4つの構成要素
さて「レピテーション」を用いることで、ベーススタイ
リングとしてお部屋全体に統一感を持たせたり、飾りと
なるポイントスタイリングにおいても、ディスプレイな
どの難易度もぐんと下がることが、お分かりいただけた
でしょうか。
この項では、レピテーションする際に注目したい「4つ」
の要素について、具体的に見ていきます。
構成要素は
- 素材レピテーション
- カラーレピテーション
- 形状レピテーション
- 文化レピテーション
です。
この4つに注目してアイテムを選ぶことで、レピテーシ
ョンを、誰でも簡単に実践することができます。
1. 素材レピテーション
レピテーションさせやすい要素の1つ目は「素材」です。
- 木
- つるなどの自然素材
- 布
- 真鍮
- ガラス
など、共通の素材を繰り返し使うことで、お部屋に
統一感を生み出してくれます。
ディスプレイとして花を飾るときにも、ひとつだけを
飾るよりも、同じ素材のガラス花器をサイズ違いで並
べて置いてみましょう。
統一感がありながらも、立体的で、奥行きを感じさせる
ディスプレイにすることができます。
素材レピテーション スタイリング実例
参考画像
自然素材をレピテーション
リネン素材をレピテーション
真鍮素材をレピテーション
つる系の素材をレピテーション
2. カラーレピテーション
レピテーションさせやすい要素の2つ目は「カラー」です。
- アースカラー
- 無彩色(白・グレー・黒)
落ち着きのある上質なスタイリングを目指す「ナチュラ
ルヴィンテージ」スタイリングでは、アースカラーと
無彩色を使い分けます。
これらのカラーは、1つだけを唐突に入れこむよりも、
同じ色味のアイテムを2つ、3つと繰り返し使うことで、
まとまりを感じさせる要素になります。
たとえば「グリーン」を取り入れるときには、全体は
落ち着いたトーンのグリーンで揃えながらも、写真の
様に、色味をグラデーションにすることで、遊び心や
リズムを感じさせることができます。
ブラックカラーなどの無彩色を取り入れる際も、考え
方は同じです。
1つだけよりも、クッション、ブランケット、サイドに
置く家具などに、同じカラーを繰り返し入れることで、
ひとつだけが浮かずに、全体的に調和をもった印象を
与えることができます。
カラーレピテーション スタイリング実例
参考画像
寝具のカラーをレピテーション
ダイニングとキッチン収納のカラーをレピテーション
花器のカラーをレピテーション
赤味のある暖色カラーをレピテーション
3. 形状レピテーション
レピテーションさせやすい要素の3つ目は「形状」です。
例えば「円形の家具」であったり、彫りをあしらった
デザインなどをレピテーションすることで、1点だけを
置いたときよりも、お部屋に統一感を感じさせることが
できます。
チェアであれば、背もたれの形状をレピテーションの
要素に加えることで、統一感のある印象を生み出すこと
ができます。
また、かごなどの雑貨も、同じ形状のものを繰り返し
採用することで、統一感を感じさせることができます。
自然素材のかごなどは、個性的なアイテムなので、1つ
だけ取り入れてしまうと、その個性がまわりから浮いて
しまいがち。
同じアイテムを繰り返すことで、個性的なアイテムも
まわりと調和させることができるのです。
形状レピテーション スタイリング実例
参考画像
円形をレピテーション
四角形(本)、円形(雑貨)をレピテーション
特徴的なウッドデザインをレピテーション
特徴的なウッドデザインをレピテーション
4. 文化レピテーション
レピテーションさせやすい要素の4つ目は「文化」です。
例えば、アフリカやアジアなど、民族の間で伝統的に
受け継がれているような柄や彫りなどを持つようなプ
リミティブなアイテムが代表的です。
北欧由来のアイテム、日本の古道具など、個性の強い
アイテムは、お部屋に質感を与えてくれる良いアクセ
ントアイテムですが、1点だと個性が強すぎて、悪目立
してしまいがちです。
国独自の文化を背景にもつようなアイテムは、2~3つ
をレピテーションで配置することにより、ほかのアイ
テムとの調和がとれて、その個性を上手になじませる
ことができます。
民族調のアイテムは、特に個性が強いのが特徴ですが、
それらのアイテムがそれぞれケンカしてしまわない為
には、共通要素を持たせて、レピテーションさせるの
がポイントです。
文化レピテーション スタイリング実例
参考画像
民族的なミラーと敷き物をレピテーション
18~19世紀、アメリカのシェーカー教徒によって生まれたシェーカー家具をレピテーション
北欧ヴィンテージの名作家具や雑貨をレピテーション
北欧ヴィンテージの家具や雑貨をレピテーション
「レピテーション」実践活用テクニック
さて、最後にレピテーションの実践的な活用例をご紹介
しておきましょう。
1. 色の異なる家具同士をなじませる
お客様からご相談いただくのが多いのが、
「引っ越して家具を新調したいけれど、持っている
家具を捨てるのも、もったいない。
古い家具をうまく調和させる方法はありますか?」
というご相談です。
せっかくの新居ですから、すべての家具を活かしながら
素敵に仕上げるのは、サイズ面でも、イメージ面でもな
かなかに難しいものではありますが、うまく活かせるも
のもあります。
例えば、新しいお家は「ブラウンカラーの家具」で揃え
たいけれど、どうしても「ナチュラルの収納家具」を残
したいという場面があるとしましょう。
ナチュラルの家具・床の中に、ブラウンカラーの収納棚が1つ
ナチュラルな家具の中に、1つだけブラウンの家具が
存在すると、統一感は崩れがちです。
こんな場合も「レピテーション」を思い出しましょう。
ブラウンの収納家具が、1つだけぽつんとあるから、
浮いて見えるのです。
その場合は、例えばチェアを1つブラウンを入れてみま
しょう。
1つだけで浮いてしまっていたブラウンの収納家具に
チェアという仲間ができたことで、統一感を感じさせる
ことができます。
さらに、スツールにもブラウンカラーを入れることで、
統一感はさらにアップし、ナチュラルカラーとブラウン
カラーの調和のとれたバランスの良いお部屋に仕上げる
ことができます。
まったくの邪魔者であったブラウンカラーの収納家具
も、このようにして、新居でも引き続き愛用することが
できるのです。
カラーミックスのレピテーション スタイリング実例
参考画像
ヴィンテージレッド、ナチュラルカラーの家具をミックス
ブラック、ブラウンの家具をミックス
ホワイト、ヴィンテージレッドをミックス
2. ジグザグにレピテーションさせる
冒頭でご紹介した「空間全体」のスタイリング事例
空間全体を整える「ベーススタイリング」でレピテーシ
ョンさせるときのコツのひとつは、ジグザグに見える様
に配置するのも、使いやすいテクニックです。
この記事の事例で見てきた写真や、さきほどの新居の
事例を改めて見返してみてください。
素材やカラーレピテーションなどを、空間の中でうまく
ジグザグにしながら配置しているのがお分かりいただけ
ると思います。
ウッドや丸いアイテムを棚に並べる際に、ジグザグに配置していく
ジグザグというのは、
- 高さ
- 左右
- 手前/奥
の中で、一か所に固まらないように、うまく散らしなが
ら、ジグザグに配置することを指します。
そうすることで、お部屋のスタイリングでも、棚上など
のスタイリングでも、バランスよく見えるようになり
ます。
ジグザグ配置のレピテーション スタイリング実例
参考画像
四角いアイテム、植物をジグザグにレピテーション
植物をジグザクにレピテーション
照明をジグザグにレピテーション
3. 雑貨は、2つセットで集める。
飾るためのオブジェや花瓶、収納ボックスやかごなど、
雑貨たちは、できるだけひとつだけ集めるのではなく、
サイズ違いや、色違いなど、2つセットで集める様に
しましょう。
そうすることで、飾るときに「2つ+1」という三角構
図を作りやすくなり、上手にスタイリングすることが
できます。
集めた2つを、前後左右にちょっとだけずらして、横に
並べるだけ。もしくは、重ねるだけ。
1個ずつバラバラといろんなものを集めるよりも、簡単
にディスプレイを楽しめるようになります。
2つセットのレピテーション スタイリング実例
参考画像
あひるのオブジェをレピテーション
花器、フレグランスオイルをレピテーション
リングホルダー、シェーカーボックスをレピテーション
編んだかご、アートをレピテーション
シェーカーボックス、真鍮のケーキスタンドをレピテーション
セオリーのまとめ
さて、「インテリア選びはレピテーションを意識する」
というセオリー いかがでしたでしょうか。
お部屋全体にも、装飾やディスプレイにも使えるとても
便利なセオリーでしたね。
あらためてまとめますと、
スタイリングの課題
- 気に入って買った家具や雑貨なのに、なんか浮いている
- スタイリングやディスプレイに自信がない
解決のためのセオリー
- 1つだけ孤立させずに「レピテーション(繰り返し)」を使う
- 素材・カラー・形状・文化に注目して、レピテーションする
スタイリングセオリーの効果
- お部屋全体に、統一感が出る
- ディスプレイが、簡単に美しく仕上がる
です。
レピテーションというセオリーを知っておくだけで、
お部屋づくりは、ぐっと簡単に、素敵に仕上がります。
インテリアアイテムをお迎えするときには、その子が
孤立してしまわないか、仲間になりそうなアイテムは
あるか、という点をしっかりと気にかけながら、選ぶ
ようにしましょう。
そうすると、失敗が減って、インテリアがもっと楽しく
なります。