siltaシリーズは、ヴィンテージレッドを中心に、北欧ヴィンテージの意匠をオマージュしたオリジナル製品です。脚の形状が特徴的で、可愛らしい意匠性により支持を得ています。
https://www.receno.com/search/index.php?q=silta「silta tv board」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。
こんにちは。ヤマモトです。
オリジナル家具ブランド「Re:CENO product」で人気
の「siltaシリーズ」よりテレビボードをリリースします。
テレビボードとしては「WIRYテレビボード」以来の
新作となり、約5年ぶりのリリースです。
今回は、この新作の収納家具について、企画経緯と
コンセプト設計を紐解いていこうと思います。
「ヴィンテージ家具」とのスタイリングを求めたテレビボード
このテレビボードをはじめとした「siltaシリーズ」は、
コンセプトカラーを「ヴィンテージレッド」という色
に据えています。
「ヴィンテージレッド」という色味は、1950年代頃
から盛んに北欧で作られた家具でよく見られる色で、
「赤みを帯びた茶色」が特徴です。
現代の日本でも、この頃に製造された北欧家具はとても
人気が高く、有名デザイナーが設計した「名作家具」か
ら、作者不詳の「アノニマス家具」まで、様々な家具が
市場に流通しています。
リセノスタッフにも、ヴィンテージファンは多いです。
ヴィンテージ家具や雑貨などをお部屋に取り入れること
で、お部屋の「アクセントアイテム」になりますので、
リセノでも「ナチュラルヴィンテージスタイリング」の
方法として取り入れています。
お部屋作りの独自理論を1冊にまとめたリセノ初の著書を発売します。
https://www.receno.com/pen/howtonv/u7/2023-02-16.phpさて、そんな「ヴィンテージ家具」を取り入れたお部屋
のスタイリングをする際に、実は多くのひとが困ってし
まう課題があります。
それは「テレビボード問題」です。
ヴィンテージ家具の作られていた1950年代というのは、
北欧でも、テレビ放送がはじまって間もない時代。
ですから「テレビボード」という概念自体がそもそも
なく、ヴィンテージ家具には「テレビボード」という
ものがありません。
北欧ヴィンテージの時代の収納家具は、もっぱら
「サイドボード」がよく作られていました。
ですから、お部屋を「北欧ヴィンテージ家具」を基調
にスタイリングする際には、テレビボードが見つから
ずに「はて、どうしたものか」と、苦労するというわけ
です。
僕自身も、自宅で北欧ヴィンテージ家具を使っていま
すので、家具のカラーコーディネートをする際に、テ
レビボード選びには、とても苦労した経験があります。
そういった経緯の中で
「無いなら、僕たちがフィットするものを作ろう。」
ということで作ったのが、このテレビボードです。
北欧ヴィンテージ家具は、年々希少性が上がってきて
おり、望むようなデザインやサイズを探すのが難しく、
また、品質面でも安心できて、価格も適正なもの...と
いうのが、手に入りづらくなってきました。
そんな経緯もあり、僕たちはヴィンテージ家具の意匠に
近いものを企画したり、復刻したりしています。
そんな経緯のある僕たちだからこその、僕たちなりの
ひとつの答えが、この「siltaテレビボード」なのです。
背は低く、奥行きは浅く、お部屋を広く。
日本のリビングにフィットする設計です。
さて、北欧ヴィンテージ家具のような上質な空気感を
お部屋に与えてくれる「silta テレビボード」。
もちろん、見た目の美しさだけでなく、使い心地にも
たくさんの工夫を施しています。
このテレビボードのひとつめの工夫は、通常のテレビ
ボードよりも「奥行きを浅く」していることです。
テレビボード「LINE」との奥行き比較
多くのテレビボードは、奥行き「42cm以上」で設計さ
れていますが、このテレビボードは奥行きを「38cm」
と、すこしスリムにしています。
わずか数センチの差ではありますが、リビングを広く
感じるにはこの数センチの差が、意外と印象に違いを
与えます。
テレビボード「LINE」との高さ比較
また、奥行きを縮めるとともに、高さも抑えています。
こちらもLINEシリーズとの比較ですが、低く設計しています。
ほんのわずかな差ではありますが、奥行きの薄さと、
シンプルな意匠デザインと掛け合わせることにより、
驚くほどに圧迫感を軽減してくれます。
奥行きを抑え、高さを抑えることで、圧迫感を軽減する
ことができ、大きなテレビを置いた時にも、お部屋を広
く感じる効果があります。
低くしたことで、より楽な姿勢での
テレビ視聴が可能になります。
圧迫感を減らして、お部屋を広く感じる効果以外にも、
高さを抑えたのには、もうひとつ理由があります。
それは、テレビの高さ問題についてのアプローチです。
テレビ視聴に適した姿勢は
首が10~15度下を向く姿勢が、体に良い
と言われています。
ソファーに座って、テレビを少し見下げる感じの角度
が、長時間見ていても、肩が凝りづらいそうです。
通常のソファーの「座面高」は、およそ「38~40cm」。
そこから身長170cmほどの人の座高を足すと、目線の
高さは、おおよそ「85cm」くらいです。
もうすこし身長の低い方なら「80cm」くらいですし、
お子様なら「50~70cm」でしょう。
その目線の高さよりも、テレビの中心位置が低くなって
いると、疲れづらいわけです。
55インチのテレビは、高さが80cmほどですので、
(目線高) 80cm - (画面中心) 40cm = 40cm
40cmよりも低いテレビボードが最適です。
市販のテレビボードは、高さ40cm前後のものが多いの
で、より女性や子供に焦点を当てたプロダクトとして
設計したのが、今回のテレビボードで採用している
高さ「36cm」です。
家にいることが多いであろう主婦の方や、子供たちが
「大型テレビ」を「自然な角度で」見られるという
解決を入れ込んだわけです。
テレビボードを選ぶときには、横幅やデザインから
選ばれる方も多いと思いますが、この「高さ」に着目
すると、普段の肩こりも軽減されるかもしれません。
また、僕のようにソファーに寝ころんでテレビを見る
という方も多いと思います。寝ころんだ時の目線の
高さは、床から「約50cm」です。
「寝ころんで視聴派」の方にとっても、低いテレビボ
ードは、とても良いわけです。
細部にまでこだわった「美しいデザイン性」
さて、ここまでは企画の経緯や、暮らしが楽になる設計
のポイントをご紹介してきました。
この項では、細やかな意匠デザインのこだわりをご紹介
していきます。
美しいオーク材の木目が、リビングを美しく彩ります。
この収納家具には「オーク材」を使用しています。
オーク材は、独特な木目が美しく、木製家具としての
美しさを感じることができます。
自然物としての「木目」は、お部屋に人工物では表現
しえない「複雑性」を与えてくれます。
複雑性が入ることにより、お部屋はより趣深さを増し、
豊かな空間となるのです。
真っ白で無機質な収納家具であったり、木を模した
「プリント材」を使った収納ではなく、本物の木を
使った「オークの無垢材・突板材」で作っています。
フォーカルポイントに、美しいオーク材の木目がある
ことで、お部屋全体の美しさを引き上げてくれます。
「眼鏡橋」から想起したかわいらしい脚デザイン
もうひとつ意匠デザインとして入れ込んだのは、独特
な脚のデザインです。
丸みを帯びた脚が、可愛らしさと、柔らかさな存在感
をお部屋に与えてくれます。
「おしゃれは、足元から」ですね。
ちなみにこの家具シリーズを「silta(シルタ)」と
名付けました。
「silta」とは、フィンランド語で「橋」の意味。
綺麗な「R(アール)」を描いた脚は「眼鏡橋」を
どこか想起させます。
家具の「足元」という小さな小さなデザインですが、
職人の手によって削り出された、手間暇のかかった
設計です。
気に入っていただけるといいなと思います。
真鍮をあしらうことで、上質さをプラス
取っ手部分には「真鍮(しんちゅう」をあしらっています。
リセノを長くご利用いただいている方には、おなじみ
の仕様ですね。
木製家具に、真鍮のゴールドをあしらうことによって、
高級感をプラスしています。
こちらも小さなデザインではありますが、取っ手なの
で、普段よく手に触れる場所でもあり、素敵であると
嬉しい場所です。
また、細かな工夫ですが、取っ手の穴をよく見ていただ
くと、貫通させずに木を貼って、穴を閉じています。
これは「スライド扉」のため、貫通させると、お子様
などが、もう1枚の扉に指を挟んでしまう恐れがあると
思ったからです。
大人は気をつけると思いますが、お子様はふとした拍子
に大きなケガにつながりかねません。
設計段階において、社内の品質検査で議題として上がり
その点も考慮した安全なデザインに変更しました。
スライド扉で、スムーズな取り出し
扉は、スライド扉なので、テレビボード前に扉を開閉
する余分なスペースは要りません。
スムーズな開閉で、中のものを取り出しいただけます。
全体的に圧迫感を抑えた設計でありながら、扉内には
たっぷり収納できます。
意外とまだまだ活躍のあるDVDをたくさん収納していた
だくのも良いですし、電池や爪切りなど雑多な日用品を
収納していただくのも、しっかり「隠す収納」を実現で
きます。
ウレタン塗装で、水や汚れに強いから
長くきれいにお使いいただけます。
僕たちの家具は、設計や、細やかな工夫以外にも、物
理的に長く使えるようにデザインをしています。
それは「ウレタン塗装」を施していることです。
ウレタン塗装は、水や汚れに強く、メンテナンス不要
で、非常に長持ちする塗装方法です。
以前は「ウレタン塗装をすると、テカテカしてしまう」
という問題があり、リセノの家具では、美しさの観点
から、使用することを避けていました。
が、今は工場との連携で「艶消し/導管開き」という
マットな仕上がりのウレタン塗装方法を見出し、その
塗装方法にてウレタンを施しています。
つまり、気になる「てかり」はなく、とてもマットな
仕上がりでありながら、長持ちするようにしています。
花瓶の水が付いてしまっても、問題ありません。
花が落ちやすい種類であっても、水拭きもできますの
で、ながく清潔にお使いいただけます。
「テレビボード選びの基本」をアドバイス。
テレビとのバランスが大事です。
さて、ここで「テレビボード選びの基本」をあらためて
振り返っておきましょう。
リセノのマガジンや、Youtubeをご覧いただいている
方には、もう耳タコですね。
テレビボードの選び方の一番のポイントは、
全体が三角形になるようにサイズを選ぶ
ことです。
× テレビに対して、テレビボードが小さくバランスが悪い
こんな風に、テレビとテレビボードのサイズが近いと
不安定な印象を受けて、頭でっかちな不格好さが際立
ってしまいます。
ですから、テレビのサイズに対して、テレビボードは
大きいものを選ぶことによって安定感が増して、小顔
のスタイルの良い印象を与えることができます。
目安は
テレビの横幅+左右に30cmずつの余白
を作るのが良いでしょう。
そうすることで、安定感が生まれるとともに、左右に
フォトフレームや、お花などを飾ることもでき、TVを
消している時にも「黒い大きな箱が居座っている」と
いう印象を軽減する効果もあります。
テレビというのは、消えている時は「黒い物体」です
ので、インテリアの美しさを損ねやすいです。
左右にディスプレイを置くことで、テレビ以外に目線
がいきやすくなり、インテリアスタイリングの印象も
引き上げることができます。
テレビボードの最適な大きさを知ることで、インテリアに馴染みにくいテレビを上手に馴染ませることができます。
https://www.receno.com/pen/livingrule/u4/2022-07-06.phpお部屋の広さや、テレビのサイズに合わせて。
サイズは4種類で、扉のタイプを選べます。
前述のとおり、テレビボードのサイズは基本があり、
テレビのサイズに合わせて、最適なものを選ぶように
しましょう。
この新作テレビボードは、一人暮らし~大きなリビング
まで、さまざまなお部屋の広さとテレビサイズにフィッ
トするように、4つのサイズを作りました。
また、扉のタイプも、
- 全面ウッド扉タイプ
- 半面ガラス扉タイプ
の2つのタイプから選べます。
120cmサイズ
120cmタイプは「24~32型」くらいのテレビ用に。
1人暮らしのコンパクトなお部屋や、書斎などに小さな
テレビを置く際に最適です。
ウッド扉
ウッド扉は、木製家具ならではの美しい木目を感じられます。
中にたっぷりと収納できますので、一人暮らしなどの
小さなお部屋では、収納家具としても高い機能性を発揮
してくれます。
ガラス扉
ガラス扉タイプは、半分がガラスの扉になります。
DVDやBlue-rayプレイヤーの赤外線を通しますので、
それらの機器を頻繁に使われる方は、「基本はガラス扉」
をお選びいただくと良いでしょう。
「基本は」と表現しているのは、150cmサイズの項で
ご説明します。
150cmサイズ
150cmタイプは「40型」くらいまでのテレビ用に。
小さめのリビングなどに最適なサイズ感で、テレビは
32型以下などの小さな場合にも、余白を使って、花瓶
や小物などを置くディスプレイスペースとして使うこ
とで、きれいなテレビエリアを作るのにも最適です。
ウッド扉
ウッド扉タイプは、オークの木目がきれいに表現され
て、シンプルで美しい印象を受けます。
DVDなどの「赤外線リモコン」は、扉を閉めていると
動作しませんので、基本はガラス扉を選ぶと良いでしょ。
ただ、ウッド扉でも閉めたままでDVDなどを操作する
裏技もあります。
それは、「赤外線リピーター」というものです。
気になる方は、Amazonなどで安く手に入りますので、
試していただくと良いでしょう。
リセノの店舗でも、各店に設置していますので、店頭
でスタッフにお声がけいただくと、詳しくご紹介します。
赤外線を中継する機器を使えば、解決できます。
https://www.receno.com/pen/tvs/u40/2024-01-09.phpガラス扉
ガラス扉タイプは、半分がガラスになることによって、
抜け感を生み出し、さわやかな印象を与えてくれます。
こちらは、そのまますんなりと赤外線リモコンが通りま
すので、お好みによってお選びください。
180cmサイズ
180cmタイプは「55型」くらいまでのテレビ用に。
重心が低く、お部屋に圧迫感を与えませんので、小さな
リビングに大きなテレビを置く際には、活躍してくれる
と思います。
ウッド扉
ウッド扉は「3枚仕様」になります。
扉の開閉用のレールは「前・後」に2本通っています。
中央の扉は、1枚後ろに下がった仕様になっており、
真鍮の取っ手は、右側についています。
2本のレールにそれぞれ扉を自由に載せられますので、
例えば、こんな風に「後ろのレールの扉を右に寄せる」
みたいなことも可能です。
このあたりの使い方は、お好みに応じて自由に設置し
ていただければと思います。
ガラス扉
ガラス扉タイプは、1枚がガラス仕様になります。
こちらも先ほどのウッド扉と同様に、ガラス扉を左右
に寄せるような使い方もできます。
200cmサイズ
200cmタイプは「65型」くらいまでのテレビ用に。
65型のテレビを置けるリビングは、かなり広いことが
多いと思いますので、テレビボードもしっかりと大きな
サイズを選ぶことで、高級感を増すことができます。
ウッド扉
200cmの重心の低く薄いテレビボードは、非常に洗練
された印象が出て、美しいフォーカルポイントになり
ます。
オーク素材の美しい扉が、もっとも映えるサイズ感です。
ガラス扉
ガラス扉タイプも、スタイリッシュな印象に。
大きなテレビをリビングに導入する際には、このくらい
大きなテレビボードを採用することで、美しいリビング
シーンを作る手助けとなります。
北欧家具の様な「ヴィンテージレッド」を含む
美しい3つのカラー展開です。
カラー展開につきましては、3色をご用意しました。
- 北欧家具をイメージした「ヴィンテージレッド」
- 定番でお部屋馴染みの良い爽やかな「ナチュラル」
- 深みがあり、こっくりと趣深い「ミッドブラウン」
の3色を作りました。
ヴィンテージレッド
北欧の1950年代頃のヴィンテージ家具をイメージした
コンセプトカラーです。
赤味のあるブラウンカラーが、ヴィンテージ家具の様な
趣きと、上質さ、そして落ち着きを感じさせてくれます。
リセノでは、ソファーやテーブル、収納家具など、
たくさんの「ヴィンテージレッド」の家具を取り揃え
ています。
お部屋のメインとなるカラーを揃えることで、お部屋
全体のスタイリングがやりやすくなりますので、おす
すめです。
センス不要で、インテリアスタイリングを美しく仕上げるセオリーの「基礎」をご紹介します。
https://www.receno.com/pen/beforestyling/u4/2024-07-05.phpナチュラルカラー
ナチュラルは、ナチュラルヴィンテージのお部屋作り
の中でも、さわやかで、明るい印象のスタイリングが
お好きな方に、おすすめのカラーです。
家具の色味は、明るいほどにお部屋は広く見えます。
一人暮らしの小さなお部屋の方や、リビングをできる
だけ「軽やかに、広く見せたい」という方にもおすすめ
です。
ブラウンカラー
ブラウンは、深みを感じられる色味で、ナチュラルでは
すこし物足りないという方におすすめのカラーです。
男性っぽい印象を受けるブラウンカラーですが、以外
にも、リセノスタッフの中でも女性スタッフに人気の
カラーです。
「こっくりと深みのある」色で、ぼくたちは「ミドル
ブラウン」と呼んでいます。
ブラウン色の家具と合わせて、リネンのファブリック
などと合わせることで、深みがありながらも、さわや
かな印象を兼ね備えた、絶妙のバランスのスタイリング
に仕上がります。
こだわりを詰め込んだ「silta tv board」
お好みに合わせてお選びください。
というわけで「silta tv board」の企画経緯とコンセプト
設計を紐解きました。
何気なく選んでしまいがちなテレビボードですが、
実のところ、最適なものを選ぶには、
- 他の家具とのデザイン統一
- 適切なサイズ選び
- 視聴による体への影響
と、いろんな視点から、自分の生活やお部屋に合った
ものを選ぶことが大切です。
特にテレビボードは、品質の良いものを買えば、他の
家具と比べても、劣化や摩耗をしづらいため一生物と
して使い続けることができます。
だからこそ、良いものをきっちりと選んで購入いただけ
ればと思います。
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実際の製品は、リセノの各店舗で展示されていますの
で、ぜひご覧いただければと思います。
店頭には、テレビボードの選び方について研修を受けた
プロスタッフたちが揃っていますので、ぜひ店頭にて
お部屋の写真や間取りをもとに、ご相談いただければ
と思います。
北欧ヴィンテージ家具のような上質な空気感のTVボード「silta(シルタ)」。 奥行きと高さを抑え、日本の住宅にフィットする設計にしました。
https://www.receno.com/tv2/siltatv.php