名作チェアー「J39」と「PP68」は友達?
2つの名作について紐解きます。
みなさん、こんにちは。
Re:CENO TOKYOのコンドウです。
この度、新しくWebマガジンに仲間入りしました。
これからどうぞ、よろしくお願いします。
簡単に自己紹介をすると、
私は、古くからあるものや、
歴史的な背景を感じる名作家具が好きです。
休日にインテリアショップに出かけては、
名作家具コーナーで、ついつい足が止まります。
特に、椅子に関しては、
デザイナーの個性がよく現れ、
惹かれるものがあります。
Re:CENOでも、
ナチュラルヴィンテージの世界観に合う
名作チェアー「J39」「PP68」を展開しているのですが、
本日は、この2脚について深掘りしたいと思います。
①「J39」と「PP68」って、どんな椅子?
それでは早速、簡単に2脚の特徴を
見ていきましょう。
1.J39/ボーエ・モーエンセン作
最初にご紹介するのは、
別名「ピープルズチェアー」とも呼ばれる「J39」。
デザイナーのボーエ・モーエンセンが、
「デンマーク市民のための、
高品質で低価格の椅子を作る。」
というミッションに応えて、
5年の歳月をかけてデザインしたものです。
当時、世界大戦で物資が不足する中、
シンプルなデザインから、
特別な知識がなくても組立ができるため、
人々の雇用まで生み出したと言われる名作です。
1947年の発売から、70年以上。
一度も生産を止めることなく作り続けられ、
「ピープルズチェアー=みんなの椅子」
と呼ばれています。
また、この簡素で誠実なデザインのルーツには、
キリスト教プロテスタントの宗派である
シェーカー教徒の椅子があります。
シェーカー教徒たちは、勤勉と質素を心がけ、
家具もほとんど手作りで作っていたそう。
そんな彼らの飾り気のない美しい生活様式が、
モーエンセンのデザインから見てとれます。
2.PP68/ハンス・J・ウェグナー作
続いてご紹介する「PP68」は、
別名「ラストダイニングチェアー」と呼ばれます。
デザイナーは、「Yチェアー」や、
ジョン・F・ケネディが座った「ザ・チェアー」を
デザインしたことで有名なハンス・J・ウェグナー。
©PPモブラー 1960年アメリカ大統領選にて、TV討論会でのジョン・F・ケネディ
ウェグナーは、家具デザイナーとして、
40年以上に渡り機能性と美しさを追求し続け、
生涯で500種類以上ものチェアーを手掛けました。
そして「PP68」は、
彼が最後にデザインした椅子です。
まさに集大成と言えますね。
背もたれとアームは、
最上級の座り心地が得られるよう
人間工学的にデザインされています。
細部まで計算し尽くされたこだわりの座り心地は、
何時間も座り続けられてしまうほど、快適です。
②Re:CENOの家具、ナチュラルヴィンテージとの相性
今回は、J39とPP68を
folk伸長式ダイニングテーブルに合わせてみました。
結論から申し上げると、相性はピッタリなんです。
北欧ビンテージ品のダイニングテーブルでは、
「楕円形」「伸長式」と言った意匠は、
よく使われるもの。
細部に目を向けると、
folk伸長式ダイニングテーブルの角Rと
PP68のチェアー背もたれのR、
テーパードした脚部など
デザインに共通する点が見られます。
それに対して、J39のデザインは、
直線的かつアームのない
とてもクラシックなものです。
他のチェアーと
ミックスコーディネートをしたときには、
洗練された控えめなデザインから、
スッと馴染みやすいのが特徴です。
さらに、素材使いに目を向けてみます。
名作椅子は、ポリプロピレンやスチール、レザーなど
個性的なものが多いですが、
この2脚は、木材とペーパーコードのみ
を使ったシンプルなデザイン。
そのため、Re:CENOが提唱する
自然素材を活かした温かみのある
ナチュラルヴィンテージの世界観によく馴染みます。
ナチュラルヴィンテージに関しての基本解説は、
こちらよりご一読ください。
「ナチュラルヴィンテージ」スタイリングのメリットと、実践ポイントを紐解きます。
この2脚のシンプルながらも確かな存在感と、
質の高い座り心地は、ダイニング空間に加わることで、
洗練された上質なスタイリングに仕上がります。
また、PP68の場合は、
背もたれと一体になったアーム部分を
持ち上げてテーブルに掛ければ、
チェア全体を浮かせることも可能です。
掃除機をかける際に
チェアーを持ち上げる必要がないので、
掃除のときも楽々です。
さらに、アームをよく見てみると、
先端は楕円形なのですが、
辿っていくと、すぐに真っ直ぐになります。
その理由は、先端の楕円形は、握りやすいように。
その後は、下部を真っ直ぐにすることで、
テーブルに掛けてもグラつかないような
工夫が施されています。
実は、フェリー客室用にデザインしていたものが
原型となったPP68。
不特定多数の乗客が座りやすいような
工夫はもちろんですが、
清掃をする乗務員のことまで考えていたと思うと、
ウェグナーの心遣いに胸をうたれます。
③個人的に惹かれる理由
最後に、名作椅子好きの私が、
この2脚に惹かれた理由を
ほんの少しお話させてください。
この2脚の名作チェアーをデザインした
モーエンセンとウェグナーは親友同士だったのです。
ウェグナーが家具デザイナーとして独立した当初、
援助してくれたのが友人のモーエンセンでした。
その後も、一時は同じ組織に所属し、
晩年はデザインも共作するほど、親交があった2人。
この2人のチェアーが、長い年月を経て、
同じテーブルを囲んでいると思うと、
感慨深いものがあります。
モノのデザイン以上に、
その背景に目を向けたとき見える繋がりで、
選んでみるのも素敵ではないでしょうか。
「J39」と「PP68」について、ご紹介しました。
名作チェアーには、歴史の数だけ、
知れば知るほど、使えば使うほど
湧いてくる魅力が、
たくさん散りばめられていると思います。
この続きは、リアルショップで、
是非体感してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。