
公開日 2025年05月14日(水)
更新日 2025年05月18日(日)
【シンプルを極めるレシピ】
いつもの食卓を彩る「人参炊き込みご飯」の作り方
こんにちは。料理家の松山たけしです。
同じ材料、同じ調味料、同じ分量でも、
ちょっとした「作り方の違い」で、
仕上がりの味は大きく変わってきます。
料理って、奥が深いものですね。
今回ご紹介するのは、
「人参の炊き込みご飯」。
試しにレシピを検索してみると、
鶏肉や顆粒だしを使うものがたくさん出てきました。
もちろんそれでもおいしいのですが、
この連載のテーマは「シンプルを極めるレシピ」。
今回は、「人参そのものの美味しさ」を
できるだけ自然なかたちで引き出すレシピに
挑戦してみます。
「切り方」と「水分の扱い」で、
人参をもっとおいしく。
今回のレシピの主役は「人参」。
切り方、下ごしらえ、火の入れ方など、
色々なパターンを試し、ようやく正解を見つけました。
ずばりポイントは、
切り方と水分の扱い方です。
人参は皮付きのまま、
粗めのおろし金で千切りにします。
いわゆる「人参しりしり」や、
「キャロットラペ」のようなサイズ感です。
おろし金は、チーズグレーターの粗い面や、
人参しりしり専用のスライサーというのも
販売されていますので、それらを使いましょう。
千切りにすることで繊維がほどよく壊れ、
食感がやわらかくなります。
生でも食べられるくらい口当たりが良くなるのです。
千切りにした人参に塩を振ってよくなじませ、
しばらく置いておくと水分が出てきます。
この水分を、しっかりと絞ってください。
そしてここで出てくる「しぼり汁」、
実はすごく重要です。捨てずに取っておきましょう。
この「しぼり汁」は、人参の香りや旨味が詰まった
自然の「だし」のような存在で、
これでご飯を炊くとおいしく仕上がるのです。
人参はご飯が「炊き上がった後」に。
さらに「炊き方」についてもワンポイント。
人参の「しぼり汁」と一緒にご飯を炊くのですが、
絞った人参は炊き上がった後に入れましょう。
「人参も一緒に炊けばいいんじゃないの?」
と思われるかもしれません。
ですが、最初から人参を入れて炊くと、
火が入りすぎて水っぽくなったり、
人参本来の香りが飛んでしまったりするのです。
人参は炊き上がってから入れた方が、
色もきれいに仕上がります。
色々と研究した結果、こちらの作り方が、
人参の味を最大限に活かした炊き込みご飯です。
ぜひ作ってみてくださいね。
材料(2合分)
- お米 2合
- 人参 60g(皮付きのままでOK)
- 塩 2g
- 昆布 ひとかけ
- 酒 大さじ1
- 薄口醤油 小さじ2
作り方
それでは最後に、作り方のご紹介です。
① 炊飯器で炊く場合
1. 人参の下ごしらえ
人参は皮付きのまま、
粗めのおろし金で千切りにします。
塩を振って混ぜ、
10分ほど置いて水分を引き出します。
水気が出たら、手でぎゅっと絞ります。
「しぼり汁」も後ほど使いますので、
取り分けておきましょう。
2. 炊く
炊飯器の内釜にお米を入れ、
先ほどの「しぼり汁」と水を計2合分注ぎます。
昆布、酒、醤油を加え、炊飯スイッチを押します。
3. 仕上げ
ご飯が炊き上がったら、①で絞った人参を加えます。
よく混ぜて、5分ほど蒸らせば完成です。
② 土鍋で炊く場合
米を洗い、30分ほど浸水させておきます。
その後、ざるに上げて水気を切ります。
「しぼり汁」と水を合わせて360mlに調整し、
昆布、酒、醤油を加えます。
土鍋に蓋をして強火にかけ、
沸いたら弱火にして10分、
その後に火を止めて10分蒸らします。
人参を加えて混ぜ、少し蒸らせば完成です。
いつもと同じ材料でも、
作り方をほんの少し工夫するだけで、
驚くほどおいしい炊き込みご飯に仕上がります。
ぜひ一度お試しください。