【 晴れのち、キッチン 】
お花屋さんがくれた言葉で気づいたこと
「いつもありがとうございます。」
少しびっくりして、
そのあと、頬が緩んだ。
今までの「ありがとうございます。」に
「いつも」という言葉がついただけだけど
なんだかとても嬉しくって。
この前よりも弾んだ声で
「ありがとうございます!」と返した。
私の暮らしの楽しみのひとつ。
それは、お花屋さんでお花を買うこと。
ずらりと並んだ色とりどりの中から
今日はどれにしようかな、と
自由に組み合わせる。
帰り道、そのお花を眺めながら
ほくほくとした気持ちで歩く。
家についたら手を洗って、お気に入りの
生花バサミで程よい長さにカット。
お部屋に響く「パチンッ」という
音ごと楽しんだら、
フラワーベースへ活ける。
飾って、少し眺めて、ほっこり。
今まではそうやって、自分ひとりだけの
ちょっぴり特別な時間でした。
だけど、この日は少し違う。
お花屋さんのお姉さんが
「いつもありがとうございます。」と
言ってくださったのです。
覚えていてくれたことがうれしかったのか、
常連さんだよ、と言われたようで
うれしかったのか。
どうしてあんなに心が
ほわんとしたのかは分からないけれど、
単純なわたしは、たった3文字がついただけで
お花屋さんをぐんと身近に感じるようになりました。
それから1週間後くらい。
お花屋さんへ行くと、またあのお姉さんがいて
私を見つけて「あっ」という顔をします。
私も「あっ」という顔をすると、
お姉さんが「こんにちは〜。」と
今までよりも少し親しげに
挨拶をしてくださいました。
「今日はお仕事お休みですか?」
「はい!今日は一輪挿しに飾る
お花を買いに来ました。」
「わあ、いいですね~!
やっぱりこの季節は向日葵が人気ですよ。」
そんなふうに、お店へ行くたび
増えていく会話と、お花たち。
すっかり「常連さん」になった最近の私は
お姉さんいるかな~なんて考えながら
お花屋さんへ向かうようになりました。
ひとりで楽しんでいた時間も
そこに「誰か」がいることで
新しい楽しみが広がる。
蚤の市で一目惚れした雑貨を買うとき、
ヴィンテージショップでチェアを買うか
迷っているとき。
思い返せば、そこには必ず「人」がいて。
ひとり暮らしでも、たくさんの人と関わって
暮らしていると気づきます。
そして、そんな縁を感じるようになってから
日々の暮らしがもっともっと
楽しくなったような気がします。
私にとって、お花屋さんで買った
お花を飾ることは、
ずっと大事にしたい習慣。
人との繋がりや時間をたのしんで
これからも過ごしていきたいな。
うだるような暑さが続く8月。
蒸し風呂状態のお部屋に耐えきれず
なかなかお花が長持ちしないのが
この季節のちいさな悩みです。
今日は、新しいお花を買いに行くついでに
夏でも長持ちする方法があるか
聞いてみよう。
あついのは苦手だけど
気持ちはうきうき、足取りは軽い。
今日もあのお姉さん、いるかな~。