【 晴れのち、キッチン 】
おじいちゃんと続ける3年日記
1月2日。
この日は親戚のみんなと
祖父母の家に集まるのがお決まりで
毎年、わたしは祖父にこう尋ねる。
「おじいちゃん、あの日記続いてる?」
その度「おー、続いてるよ〜!」と、
誇らしそうに日記帳を見せてくれる。
学生の頃、私は祖父に日記を書くことを勧めた。
今日あったことを思い出し、
手を動かして文字を書くことは
ボケ防止にいいらしい。
そして、同じ日付の記録を同じページに残していく
「3年日記」は、書くときに1年前の今日のことを
思い出せるから特にいい、とのこと。
いつまでも元気でいてほしくって
「3年日記っていいらしいよ」と話すと、
真面目な祖父は「ほぉ〜」と言って
すぐに始めてくれました。
物知りで聡明な祖父のすごいところは
まだ10代だった私の話にも
真剣に耳を傾けてくれるところ。
学ぶ姿勢を忘れない姿は、
いつだって私の憧れなのです。
そんな祖父が見せてくれる日記帳には
その日にあったことだけじゃなくて
覚えておきたいことも書いています。
孫たちの誕生日や、進学した学校、
就職した会社。あそびに来た日。
そのほとんどが、私たちについて綴られていたことも
「ここに書いといたら忘れへんやろ〜」と
ニカっと笑った祖父の顔も。
いつ思い出しても、胸がジンとします。
私も、毎日ひとつ絵を描く「1日1絵」と
日記を3年間つづけています。
それでも、寝る前のほんの5分が
どうにも面倒に感じるのも
正直なところです。
だけど、そのたびに
「おじいちゃんは今日も書いてるんやろなぁ」
なんて考えて、がんばれたりもして。
いつ挫折しても大丈夫なようにと、
1年ごとに切り替えていく日記帳を使っていたけど
私も「3年日記」を始めてみようかな。
去年の年末、そんなことを思い立ちました。
20代も後半になり、1年のスピードが
ぐんぐん速くなっているのを感じています。
目まぐるしい日々の中で
小さな出来事や、日常で感じたことって
案外わすれてしまうものです。
毎日の出来事も、今の気持ちも
20代のこのときを
ギュッと1冊にまとめておきたい。
1年日記も3冊達成したことだし
きっと大丈夫なはず。
それに、もし挫けそうになったとしても
祖父の背中を見たら
つづけられそうな気がするんです。
数年後に見返したとき、
20代に感じていたことを懐かしいなと思ったり
若いなぁとクスッと笑ったり。
そんなこともあったな〜と思い出す
きっかけになるといいな。
その日の出来事だけじゃなくて、
覚えておきたい大切なことも書いておいて。
ゆるゆると続けてみよう。
それで来年も再来年も、1月2日になったら
おじいちゃんと日記の話をしよう。