【 晴れのち、キッチン 】
さよならワンルーム
「インテリアをもっと楽しみたいから
ひとり暮らしをしたい。」
そんなちょっぴり贅沢な理由で始めた
1Kでの暮らし。
大好きな家具や雑貨たちに囲まれた
思い出いっぱいのお部屋ですが、
実はこの春、引っ越すことになりました。
せまい空間に、好きなものが
ぎゅっと詰まったワンルームを
私はよく「秘密基地みたい」と
例えていました。
特別で、自分だけの城で
どこよりも落ち着く場所なのです。
そんな大好きなお家とのお別れは
やっぱりさみしくて、名残惜しい。
だけど、同じくらい
次のお部屋作りがたのしみで
ワクワクする気持ちもある。
早く引っ越したいな、と
まだ引っ越したくないかも、の間で
ゆらゆらしています。
そんな宙ぶらりんの気持ちのまま
荷造りをしていると、
数年前にテレビで流れていた
引っ越しのCMが頭によぎりました。
新生活が始まったときのドキドキや
ヘトヘトに疲れて帰ってきた夜、
友人を招いて過ごした楽しい時間。
1つの箱の中で過ごした映像が走馬灯のように巡り、
最後に「ありがとうございました。」と
お部屋にお礼を言う。
たしか、そんな内容でした。
私も今、同じ気持ちだなぁ。
果てしない荷造りと戦いながらも、
このお部屋で過ごした思い出たちを
振り返っています。
キッチンも、まっさらに!
シンプルすぎるキッチンを
なんとかしたくて
DIYに初挑戦したな~とか、
荷造りでありがたかったものNo.1、AROROGバスケット
早起きして通った蚤の市で
古いものに出会ったり、
コーヒーアイテムを集めたり。
「暮らしを楽しむ」と目標に決め、
新しい世界が広がったのも
ひとり暮らしを始めてからだなとか。
エッセイを始めたのも
vlogを始めたのも、
このお部屋に引っ越してからです。
好きなものだけでなく
たくさんの「はじめて」が詰まった、
そんなワンルームでした。
この窓から見る空が好きだった。
引越し当日。
ギリギリまで荷造りに追われていたけど
無事に搬出が完了しました。
ふうっと一息ついたところで
お腹がぺこぺこだったことに気づき、
買っておいたサンドイッチの袋を開けます。
それから、ぼんやりと空を眺めました。
暮らしに変化はつきものだけど、
いざ自分がその変化の中にいると
思っていたよりも臆病なことに気付きます。
今までの「安心」は居心地がいいから
つい後ろ髪を引かれるし、
いつまでもそこにいたくなる。
それでも、新しい暮らしには
また違った「はじめて」があって、
インテリアには作り上げていく楽しさがあります。
これから始まる新生活も
自分らしく、マイペースに
たのしんでいきたいな。
みなさんは、この春
新しく始めることはありますか?
大きな変化も、小さな挑戦も。
それぞれの春を、
楽しんでいきましょうね。
からっぽになったお部屋。
たくさんの思い出と荷物を持って
「ありがとうございました。」
最後は、あのCMのように呟いて
大好きなワンルームを出たのでした。