【 悠々、閑々。】作る人と、思いを届ける人と。
清々しい空と、立冬を迎えて
すこしずつ色づきはじめた山々。
凛とさえた空気の小春日和に
おもわずふっと顔がほころんでしまう。
暦の上では冬というけれど、
まだまだこの季節を楽しみたいな
と思う、きょうこの頃です。
最近になってあらためて感じるのは、
京都という街がやっぱり好きだなぁということ。
ぐんと空を見上げるほどの
煌びやかな高層ビルはないけれど、
ゆるやかに流れる鴨川や
天高く、ひゅるりと飛ぶ鳶。
ふらりと街を歩くだけで、
何百年も前からあるお寺や神社、建物が
いまも景色の中に当たり前のようにあって。
その中で、古今を問わず様々なカルチャーが
うまく調和して根付いています。
お散歩ついでに、ついついお土産が
増えてしまうのも京都のいいところ。
とくに、職人さんや作家さんが生み出した
「手仕事」を感じられるものは
ほんとうにたくさん溢れています。
わたしがよく手に取るのは、
暮らしのうつわたち。
作る人によって、いろんな個性があること。
ひとつずつの色や形、表情が違うこと。
出会おうと思っても、必ずは出会えないこと。
そんな魅力が詰まっているから、
ふらっと入った店先で
はっと心が奪われてしまったが最後、
「一期一会だもんねぇ」と
ついつい自分を甘やかしてしまう。
(「おうち」さんで出会った益子焼のうつわ )
でも、その「甘やかし」から得られるものも
案外大きくって。
家に帰って、包み紙を見てはにんまり
そっと開けてみて、眺めてはまたにんまり...
人の手で作られた少しいびつな形もまた、
わたしの手にしっくりと馴染んでいるようで
なんだかあたたかく、うれしい気持ちになります。
「お気に入りのうつわがある」というだけで、
朝コーヒーを淹れる時間が楽しくなる。
疲れたときの手抜き料理も
さっと盛り付けるだけで様になったり、
季節のごはんをもっと美味しく感じたりする。
味そのものが変わるわけじゃないはずなのに、
なんだか魔法のようですよね。
(いっしょに持ち帰った栗饅頭と、栗ういろう)
開けた包みの中には、店主さんのこんな言葉。
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もったいないからと仕舞い込まず
どんどん使い込んで普段使いしてくださいね。
これは、作り手さんたちの願いでもあります。
「おいしい うれしい たのしい」
そんな毎日になりますように。
どうぞ暮らしを楽しんでくださいね。
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作る人と、それを届ける人と。
それぞれの手から手へと繋がり、
こうしてわたしの元に届いていると思うと
心がほんわり、あたたかい気持ちになる。
わたしもそうやって物にこめられた「思い」まで、
やさしく手渡すように
伝えられるようになりたいな。
普段「インテリアの楽しみを伝える」という
お仕事をするうえで、そんなことをふと考えました。
わたしの部屋の棚には
「一期一会」のご縁がたくさん溢れていて。
あたたかな思いが、それぞれの器に
こもっていると気づくとなおさら、
うんうん、一期一会の甘やかしは
やっぱり間違いじゃなかった。
このお気に入りの器たちをたくさん使って、
「おいしい うれしい たのしい」
そんな毎日を重ねていきたいなと思います。