【 悠々、閑々。】冬の部屋に明かりを灯して。
あっという間に、夜がやって来る。
日が暮れるのがぐんと早くなって、
暗くなった街並みにクリスマスの光が
まばゆく輝きます。
ただ、そんな街にふわふわと浮かれる気持ちも
びゅうびゅう吹く木枯らしにはかなわない。
はやく家に帰らなくっちゃと、
いつもより足早になる帰り路。
家に着いたら、暗く冷えた部屋に
明かりをひとつずつ灯して。
こんなに寒い季節だからこそ、
あたたかな光に包まれると
「やっぱりおうちがいちばん」
と、ほっと幸せな気持ちになりますよね。
12月生まれのわたしは
ちいさな頃から、誕生日とクリスマスが
いっしょにやって来るような感覚があって。
クリスマスの飾り付けは大好きだったけれど、
誕生日に重きを置いていたからか
いまの一人暮らしの家には、
クリスマスらしい雑貨はほんの少しだけ。
仕事を始めてから、バタバタとする毎日に
その日を楽しみに待つことも
少なくなってしまったかもしれません。
でも、寒さから逃げ帰った夜は、
部屋の明かりとともに
そっとろうそくに火を点けてみる。
やさしく静かに揺らぐ、ろうそくの炎。
テレビをつけずに、ただただぼんやりと過ごしていると
思い出すのは冬のきらきらした記憶ばかりです。
ちいさな頃、誕生日にはわたしの好きなタルトを、
クリスマスには、兄の好きなチョコレートケーキを
母がひとつずつ焼いてくれたこと。
幼馴染に招待状を送って、誕生日会や
クリスマスパーティーを開いたこと。
(あんこ好きと豪語するわたしも、誕生日のタルトはかかせません。笑)
それから、もうひとつ覚えているのは
いつも両親が絵本をプレゼントしてくれたこと。
あるときは空を飛んだり、海の中を冒険したり
はたまた知らない星に迷い込んだりして...
絵本のなかに吸い込まれるように
とにかく夢中になっていたなぁ...。
いまでもその絵本たちは大切に残していて、
習慣も変わらないもの。
クリスマスには一冊、誕生日のお祝いも兼ねて
自分自身に絵本をプレゼントすることにしています。
気づけば、33歳になったわたしはもうすっかり大人で、
絵本の力に頼らなくても
自分で好きな場所へ行けるようになって
ほしい物もある程度手に入れられるようになりました。
それでも、大人になったいまも変わらない気持ちと
大人になったいまだからこそ感じる思いがあって。
絵本に夢中になった頃のように、いつまでも、
この季節はわたしに幸福を与えてくれる。
今週末は、いよいよクリスマス。
みなさんは誰かにプレゼントを贈りますか?
わたしは、すこし大きくなった甥っ子たちに
絵本をプレゼントしてみようかな。
ずっと残しておいておかなくてもいいけれど、
大人になっても幸せを運んでくれるような
そんな冬の贈りものを用意しよう。
(もちろん、アンパンマンのおもちゃも忘れずに。)
部屋のあたたかな明かりに包まれながら、
そんなことを思うのです。