コーヒーマイスターが教える豆の選び方
〜焙煎度合いの違い編〜
こんにちは、コーヒーマイスターのはまだです。
この企画では、コーヒー豆の選び方を
3回にわたって解説していきます。
初回は「ブレンドとシングルオリジンの違い」
について解説しました。
2回目となる今回は、さらに一歩踏み込んで、
焙煎度合いの違いについて解説していきます。
大量生産・消費の
「ファーストウェーブ」
まず、本題である焙煎度合いの話に入る前に、
コーヒー文化の歴史を少しお話しさせていただきます。
コーヒーの流行は、時代の変化とともに訪れた、
3つの大きな流れから紐解くことができます。
最初の流行であるファーストウェーブは1900年代頃。
コーヒーの大量生産・消費が重視された時代です。
流通の発達とともに、世界の各地でコーヒーが
安価で飲めるようになったため、
コーヒーが人々の生活に馴染むようになりました。
このとき、インスタントコーヒーが誕生し、
一般家庭で広く飲用されました。
シアトル系コーヒーショップが台頭した
「セカンドウェーブ」
続いての流行「セカンドウェーブ」は1960年代以降、
シアトル系コーヒーショップ、スターバックスもそれに
当てはまりますが、この時代の特徴は深煎りのコーヒーです。
これまで、大量生産・消費といった経済活動として
の影響が大きかったコーヒー文化。
セカンドウェーブからは、自分好みにアレンジできる
エスプレッソドリンクの普及やロゴ付きのカップで
テイクアウトするスタイルなどが流行しました。
味にこだわり、そしてコーヒーを自宅以外で
楽しむ新しい文化が浸透しました。
また、ファーストウェーブの頃に比べ、
高品質なコーヒーを求める動きが
活発になったのもこの時期から。
深煎りに耐えられる生豆の
調達・焙煎技術が発達することによって、
コーヒー豆の風味にまで注目するようになりました。
高品質とトレーサビリティを求めた
「サードウェーブ」
そして、2000年頃から始まった、
3回目の大きな流行「サードウェーブ」へ
時代は変化していきます。
この時代の特徴は、コーヒーの産地や種類、
その栽培方法・製造方法(トレーサビリティ)に着目し、
それぞれの特徴を楽しもうという動きです。
一杯ずつ目の前で抽出を行うスタイルが主流となり、
産地の特性を活かした浅煎りのコーヒーなど、
より高品質なコーヒーが楽しめるようになりました。
有名なショップにはブルーボトルコーヒー
などが挙げられます。
ちなみに、リセノでもこのスタイルを採用していて、
京都店、東京店、これからオープンを控える福岡店でも、
家具を選びながらコーヒーを味わうことができます。
また、サードウェーブ以前はコーヒー農家たちは、
大量のコーヒー豆を安価に買いたたかれたり、
劣悪な環境での労働を強いられていた時代もありました。
近年、フェアトレードという活動によって、
最低買取基準額が設けられたり、中間業者を通さず
コーヒー豆の質の高さを競うコンテスト、
カップオブエクセレンス(COE)が開催されるなど、
賃金や労働環境が整えられてきたのもこの時代です。
これらの活動は、安定して高品質なコーヒーを
楽しんでいくための持続可能(サスティナブル)な
活動として注目されています。
この活動によって、高品質なコーヒーが世界中で
生産されるようになったからこそ、
「サードウェーブ」が広まったともいえます。
コーヒーの味を決める
焙煎の重要性について
ここまで、コーヒーの歴史をお話しましたが、
家庭で高品質なコーヒー豆が当たり前のように、
楽しめるようになったのはごく最近のことなんです。
コーヒー好きの僕としては、ぜひ皆さんにもコーヒー豆
にこだわって欲しいなという想いがあります。
(家具屋ですが笑)
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
コーヒー豆は、コーヒーチェリーとよばれる果実の状態から、
生豆といって緑色をした乾燥豆の状態に精製されます。
そこから焙煎(生豆に熱を入れる工程)を行うことで
僕たちがよく目にする茶褐色のコーヒー豆になります。
最初は、青臭ささのある状態ですが、
適切な焙煎が行われることで
コーヒー豆の成分が科学反応を起こし、
美味しいコーヒーが楽しめるというわけです。
また、焙煎が味の傾向を決めると言っても
過言ではありません。
焙煎が深いほどに苦味は強くなり、
浅くなれば苦味が弱く酸味が際立ちます。
つまり、同じ種類の豆であっても焙煎によって、
味が異なるということでもあります。
このことからも、焙煎を知ることが
コーヒー豆を選ぶ際に重要な要素だということが
お分かりいただけたかと思います。
「浅煎り」「中煎り」「深煎り」
3つの焙煎度合いを抑えましょう。
コーヒーの焙煎度合いは、大きく分けて3つ。
「浅煎り」「中煎り」「深煎り」に分けられ、
そこからさらに細かく、8段階ほどに分類できます。
味の傾向については、「浅煎り」「中煎り」「深煎り」
の3種類を抑えておけば問題ありません。
では、それぞれ詳しく解説していきます。
まずは、浅煎りについて。
高品質な豆ほど酸味にユニークな風味特性が表れるため、
豆本来の個性を味わうために最適なのが
浅煎りと言われています。
ただ、浅煎りの酸味については好みが別れる場合があり、
これまで親しんできたコーヒーのイメージとの
ギャップを感じるかもしれません。
最初はネガティブな表現として「酸っぱい」と
感じられることが多いようです。
【引用】SCAAの新しいコーヒーフレーバーホイールを日本語に翻訳してみた
以前の記事で紹介した、フレーバーホイール。
本来はこのように、酸味にもたくさんの種類があります。
このポジティブな酸味を感じることができるようになれば、
これほど楽しい飲み物もそう多くはありません。
様々なコーヒーを飲むことで、感じられる味の幅が広がり
徐々に楽しみも増えるので、ぜひ飲み比べてみてください。
続いては、深煎りについて。
よくイメージするコーヒーはほとんどが
この深煎りです。
コンビニや、喫茶店、スターバックスも
深煎りの豆を使用しています。
苦味の中に香ばしい香りや
ビターな甘みを感じることができ、
「これこれ」と言いたくなるような
慣れ親しんだ味わいが特徴です。
ただし、深入りになればなるほど酸味は消失していき、
産地の風味特性を感じにくくなるという
デメリットもあります。
そして、最後に中煎りです。
中煎りは読んで字のごとく、焙煎度合いは真ん中くらい。
ほのかに酸味を感じながら、
香ばしい香りも味わえるバランス感のある
味わいが特徴です。
ちなみに僕は、中煎りが一番の好みです。
浅煎り、深煎りと比べ、少しインパクトは弱めですが、
酸味も苦味も感じることができるので
いいとこ取りといったイメージです。
まとめますと、
浅煎り
・風味特性をもっとも感じることができる
個性豊かなコーヒー
・酸味に対して好き嫌いが分かれてしまう。
深煎り
・香ばしい香りと苦味が楽しめる慣れ親しんだ
味わいを楽しむコーヒー
・コーヒーの特性でもある酸味を感じにくい
中煎り
・酸味と苦味のバランスが取れたコーヒー
・インパクトが弱く、面白みにかけてしまう。
といった感じで、それぞれの違いが
お分かりいただけましたでしょうか。
味の傾向は、焙煎よってある程度決まってくるため、
自分の好みの焙煎度合いがどのくらいか覚えておくと、
お店で注文する際に、非常に役立つと思います。
リセノスタッフに飲み比べてもらいました!
ということで、前回と同様に
今回もリセノスタッフに飲み比べてもらいます。
飲み比べをしてもらうのは、
「悠々、閑々。」で素敵なエッセイをお届けする
制作スタッフのさわさんです。
使用するのは、エチオピアの
浅煎り、中煎り、深煎りの3種類です。
ちなみに条件が揃うように、
以前紹介した、コーヒーの淹れ方
で3種類とも抽出を行います。
使用するのは、リセノでも取り扱いのある
カリタ のドリッパー「ロトブラウン」。
初心者にも扱いやすく、誰が入れても安定した味わい
を楽しめるのが特徴です。
はま)
まずは、深煎りからどうぞ。
さわ)
喫茶店の味ですね!香ばしくて苦味があります。
京都の美味しいパンと合わせても良いかもしれない!
はま)
ははっ笑
さすが京都育ちでグルメなさわさん、
深煎りのコーヒーとパンは最高ですよね~。
ちなみに京都は深煎りのコーヒーを
好まれているイメージがあります。
さわ)
老舗の喫茶店とかカフェが多いからなのかな。
私も深入りのコーヒーしか飲んだことないかもしれない。
はま)
では、味を覚えてるうちに今度は浅煎り。
同じエチオピアだけど、
酸味の特徴を感じられるはずです!
さわ)
同じ産地でも、焙煎でこれだけ変わるんだ!
全くの別物ですね。
はま)
よく紅茶っぽいという表現をするんですが、
紅茶に合うお菓子を選ぶのはおすすめですよ。
さわ)
言われてみると、ピーチのような感じもあるし......
あれ、味変わったかも。
はま)
本当にさすがですね!
温度帯によっても、感じられる酸味の特性は
変化していくんです。
さわ)
浅煎りのコーヒー、面白いですね!
はま)
では、最後にいいとこどりの中煎りをどうぞ。
浅煎りのフルーティーなイメージと
深煎りの香ばしいイメージの両方を感じてもらえるはず。
さわ)
最初は香ばしく、後から酸味も感じます。
確かに、いいとこどりって言葉がぴったりかもしれない。
はま)
僕は中煎りが好きなんですが、
浅煎りも深煎りもたくさん飲み比べたから、
より楽しめているのかもしれません。
さわ)
酸味も浅煎りと比べると落ち着いているし、
ビターな感じもあまりないので、
比較してみると印象としては少し弱いかもしれない。
ただすごく飲みやすくて、私も好きです。
はま)
比較すると、それぞれの特徴がわかりやすいですよね。
焙煎度合いによってこれだけ味が変わるので、
ぜひお好みの焙煎度合いを見つけてください。
ということで、
焙煎の違い編いかがでしたでしょうか。
次回もお楽しみにー!