センス不要で、インテリアスタイリングを美しく仕上げる「ディスプレイ」のセオリー前編をご紹介します。
https://www.receno.com/pen/pointstyling/u4/2024-09-06.phpセンスのいらないインテリア【スタイリング編】|「ディスプレイ」の基本を知る。(後編)
さて「ディスプレイの基本を知る。(後編)」として
実践的なテクニックをご紹介していきます。
こちらの記事は、<前編>よりの続きの内容となります
ので、未読の方はそちらを先にお読みください。
それでは、はじめましょう。
ディスプレイの基本「三角構図」を理解すれば、
誰でもディスプレイ上手に。
<前編>では、ディスプレイをするのに最適な場所と
おすすめのアイテムについて、ご紹介しました。
<後編>では、いよいよディスプレイの実践的なテク
ニックについて、詳しく解説していきます。
ディスプレイのもっとも基礎的なテクニックでありなが
ら、同時に最大の効果を生み出すテクニックでもあるの
が「三角構図」です。
インテリアスタイリングのプロでも、この「三角構図」
を使用して、ディスプレイをしています。
つまりは、この「三角構図」だけ抑えておけば、誰でも
美しいディスプレイをすることができるのです。
三角構図とは?
三角構図とは、わかりやすく言うと「大・中・小」の
3つの高さの異なるアイテムを使って、三角形をつくる
ディスプレイ手法のことです。
高さの違うアイテムで、三角形を作ることで、3つの
アイテムの関係性の中にリズムが生まれ、見た目が美
しく感じる「1つのかたまり」が出来上がります。
この画像を見てもらえれば、高さの異なるアイテムを
三角形に配置していることで、美しいディスプレイが
出来ていることがお分かりいただけるでしょう。
構成はとてもシンプル。
難しくありません。
プロのスタイリストが作り出すような、一見真似のしよ
うがない様な美しいディスプレイも、実は「三角構図」
をベースとして、複数の三角を組み合わせて作られてい
ます。
三角構図の基本をマスターしておくことで、それを基礎
として、応用的に複雑に入り組んだようなディスプレイ
も、センスではなく、論理的に作れるようになるのです。
まずは、この「三角構図」がディスプレイの基本である
ということを覚えておきましょう。
三角形を構成する「大・中・小」
さて「三角構図」が、ディスプレイの基本であるという
事をご紹介しました。
この三角構図をつくるための基本が「大・中・小」の
3つの高さの異なるアイテムを揃えることです。
- 大(垂直)
- 中(立体)
- 小(平面)
3つのアイテムについて、役割とともに解説していきます。
大(垂直)
「大」は、三角形の頂点を担います。
もっとも大きなサイズとなるので、代表的なアイテムは
- アート
- ミラー
- 大きめの花瓶
- 大きめのオブジェ
などがこの「大」にあたります。
「垂直」という表現は、壁に留めたり、立て掛けたり
するアートなど、平たいアイテムを意味します。
サイドボードの上などは、白くて無機質な壁が大きく
空きがちなので、アートを掛けることがよくあります。
その際には、そのアートを三角形の「大」として捉える
こともできるというわけです。
「大(垂直)」のアイテム例
参考画像
棚の上には、大きなアートポスター
棚の中には、小さなポストカード
ウォールシェルフ
楕円形のミラー
花瓶にドライフラワーを挿して
中(立体)
「中」は、三角形のちょうど中間くらいの高さのアイテムです。
「大」が垂直的に高さのあるアイテムなのに対して、
「中」は、立体的な奥行きのあるアイテムを選ぶと
バランスが良くなります。
たとえば
- 中サイズの花瓶
- 中サイズのオブジェ
- オーディオ機器
など、奥行きがありながら、大と比べてすこし小さい
サイズのアイテムを選びましょう。
1つだけでは物足りない場合には、上の画像の様に、い
くつかのアイテムを組み合わせて三角形を作ることで、
より奥行き感のあるディスプレイにすることもできます。
「中(立体)」のアイテム例
参考画像
花瓶
動物のオブジェ(リサラーソン)
抽象的なオブジェ
ポータブルライト(フラワーポット)
チボリのオーディオ
小(平面)
最後は「小」サイズです。
小サイズには、大・中と比べて小さめのアイテムを
配置します。
高さのリズムを出すためには、平面的なトレイや、本な
どのアイテムを下に敷き、そこに小物をまとめて置くの
も良いアイデアです。
トレイにまとめるのは「グルーピング」というテクニックです。
小(平面)の例
参考画像
真鍮のプレート
磁器のお皿
ファブリックやガラスのプレート
木製のケーキスタンド
木製のフルーツボウル
さて、三角形を構成する「大・中・小」について
見てきました。
事例を見ていただいて分かる通り、大きさを変えながら
3つのアイテム群をひとつのかたまりとして配置するの
がポイントです。
「大=垂直/中=立体/小=平面」という基本ルール
を踏襲すると作る際の指針となりますが、それほど神
経質に考えすぎる必要はありません。
ある程度、目安として捉えながら、あれこれアイテムを
変えながら、大・中・小を意識しながら、三角形を作っ
てみると良いでしょう。
「2点セット+1」で選ぶ
三角形の「大・中・小」を選ぶ際に
「三角形にするのがディスプレイの基本ということは
分かったけれど、3つのアイテムを選ぶのが難しい。」
というお声は多くいただきます。
そんな方のために、ディスプレイの「大・中・小」を
選ぶ際のコツをお教えしましょう。
それは
大・中・小のうち、2つに共通点を持たせる。
という選び方です。
共通デザインのオブジェを「大・中」に、真鍮の「小」を加えて。
「大と中」、「中と小」、「大と小」 どの組み合わせ
でも構いません。
三角形の3つのアイテムのうち、2つを同じ素材やデザイ
ンのもので揃えるようにして、1つを異なる素材にします。
そうすることで、統一感を演出しながらも、簡単に
良い雰囲気の三角形を作ることができます。
3つともに近しい素材を選んでしまったり、3つともに
異なる素材を選んでしまうと、まとまりすぎて面白み
がなかったり、バラバラと見えてしまう原因となります。
ポイントは「大・中・小のうち、2つに共通点を持たせる」ことです。
これは「レピテーション」というテクニックを応用した
もので、統一感を与えるための基本となります。
センス不要で、インテリアスタイリングを美しく仕上げる「レピテーション」のセオリーをご紹介します。
https://www.receno.com/pen/pointstyling/u4/2024-07-19.php2点セット+1の例
参考画像
同じシリーズのオブジェをサイズ違いに
アートポスターをサイズ違いに
同じシリーズのオブジェをサイズ違いに
木製のオブジェ
オブジェ、キャンドルなど複数を組み合わせる
「趣き」のあるアイテムを加える
ディスプレイの美しさをさらに引き出すポイントとして
「趣きのあるもの」を取り入れることも良いアイデアです。
例えば、
- ヴィンテージのオブジェ
- ドライフラワー
- 木製やラタン、レザーなどの自然素材
アイテムとして時代を経た経年変化、スレ、かすれなど
「深み」や「歴史」を感じさせるものがディスプレイに
加わることで、アイテム自体の美しさがディスプレイの
完成度を引き上げてくれます。
また、時代を経たものではなくても、ドライフラワーや
自然素材、手仕事のアイテムなど、量産品では感じとれ
ないような1点1点の趣きを感じられアイテムなども、デ
ィスプレイを美しく見せる手助けをしてくれます。
大・中・小の3つのリズムによって美しさを引き出す
のがディスプレイの基本ですが、それぞれのアイテム
自体のパワーがあれば、なお一層美しく、深みのある
ディスプレイにすることができるということです。
「アクセントアイテム」と名付けているインテリア
アイテムを探してきて、ディスプレイに加えると良い
でしょう。
趣きのあるアイテムの例
参考画像
ヴィンテージのオブジェ、アイスボウル、花瓶
真鍮素材の動物のオブジェ
ラタン素材のオブジェ
ヴィンテージのキャンドルホルダー、花瓶
ヴィンテージフラワー、石
「レイヤード」を意識する
三角形を作るときのコツを、もうひとつ。
それは「大・中・小」のアイテムを、前から見たときに
お互いに重なり合うように置く(レイヤードする)こと
です。
「大・中・小」のアイテムがそれぞれに重なり合わず
に置かれていると、ばらばらとした印象を与えがちです。
アイテム同士を重なり合うように置くことで、立体的な
印象を与えることができ、ディスプレイが美しく見えや
すくなるのです。
ちなみに、三角構図の作り方については、動画でも解説
していますので、そちらも合わせてご覧ください。
誰でも簡単に、お部屋の印象をグッとよくできる、、ディスプレイテクニックをご紹介します。
https://www.receno.com/pen/coorderule/u4/2022-03-31.phpレイヤードの例
参考画像
フラワーベース同士を重ねる
アートにお花をレイヤードさせると動きがでる
オープンシェルフでは、各棚ごとにアイテム同士を重ねる
省スペースのTVボード横でも重ね技が活躍
フラワーベースとフレグランスを重ねる
「複雑なディスプレイ」を成功に導く
基本テクニック
さて、ディスプレイの基本である「三角構図」について
ご説明してきました。
初めてディスプレイをするという方は、3つのアイテム
を組み合わせて、ごくシンプルな三角を作ることから
はじめましょう。
アイテム選びを基本通りに行えば、シンプルな三角形
でも、十分に美しく見えます。
一方、ディスプレイの経験を積む中で、自信がついてき
て、より複雑なプロのようなディスプレイにチャレンジ
したいという気持ちが芽生えることもあるでしょう。
そのような方のために、この章では、プロのような複雑
なディスプレイを成功に導くコツを解説します。
「複数」の三角形を重ねる
プロが作るディスプレイは、複雑で、奥行きのある
ディスプレイで、シンプルな三角形ではありません。
ただ、これらの複雑なディスプレイは「三角構図」とは
異なるテクニックを使っているかというと、実はまった
くそうではありません。
「複数の三角形を、重ね合わせる」というテクニック
をプロは使っているのです。
三角構図で作ったディスプレイ同士を重ね合わせて、
- 大きな三角形
- 中くらいの三角形
- 小さな三角形
と、三角形を使って、さらに大きな三角形を構成する
のです。
上の画像の要素をさらにわかりやすく分解すると、
1つめの三角形
2つめの三角形
3つめの三角形
と、それぞれの三角形があり、それらが合わさって、
大きな三角形を構成しているのが分かりますね。
このように、三角形をいくつか重ね合わせていくことで
複雑性があり、奥行きを感じるプロのようなディスプレ
イを作ることができるのです。
レピテーション
さて、プロのディスプレイは、三角形を複雑に組み合
わせているということが分かりましたね。
複雑に組み合わせる時に注意したいのは、組み合わせ
るアイテムのパターンが増えることで、全体的に統一
感を損ないやすいという点です。
この統一感を保持するためのテクニックが
「レピテーション」です。
上の画像では
- 緑色の◯ = 共通した「ウッド素材のブラウンカラー」
- 桃色の◯ = 2つセットにした「共通形状と、ホワイトカラー」
という風に、共通点のあるアイテムを繰り返し使うこと
で、ディスプレイ全体としてのまとまりを作っています。
ウッド素材のブラウンカラー
この「レピテーション」を意識してアイテムを選ぶこと
で、複雑なディスプレイであっても、全体の統一感を
ハンドリングしていくのです。
三角構図の説明で「2点セット+1で選ぶ」という基本
が出てきましたが、複雑な三角形を重ねていく際には
アイテム同士に共通点をもたせるというのは、さらに
重要度を増します。
ステージグルーピング
ステージグルーピングとは、上の画像でのトレイやオー
ディオなど「ステージ(舞台)」となるアイテムを下に
敷いて、小物たちをまとめるテクニックのことです。
小さなアイテムたちは、そのまま置いてしまうと、ばら
ばらとした印象を与えがち。
下にステージとなるアイテムを敷いてあげることで
「ゾーニング」の効果が生まれて、こまごまと置かれ
た小物たちであっても、まとまった印象を与えること
ができます。
これを「ステージグルーピング」と言います。
ステージとなるのは、トレイなどの専用のものでなく
ても構いません。
例えば、本を敷いて、その上にオブジェを置くことで
印象的なステージにすることもできます。
ステージグルーピングについては、動画もありますの
で、合わせてご覧ください。
小さなインテリアアイテムをセンス良く、きれいにディスプレイができるテクニックをご紹介いたします。
https://www.receno.com/pen/coorderule/u4/2022-05-12.phpステージング 例
参考画像
玄関では、カギや印鑑・フレグランスを真鍮プレートにステージング
ドレッサーでは、香水やアクセサリーをお皿にステージング
複数の素材のプレートを重ね合わせて、複雑性を高める
ファブリックでゾーニングし、さらにプレートでステージング
ステージングは、テーブルの保護効果も◎
均等配置
均等配置とは、同じ形状や、近しいサイズのアイテム
を等間隔で並べるテクニックのことです。
三角構図の中に、均等配置を入れ込むことで、整然と
した印象をプラスすることができます。
均等配置 例
参考画像
木製のオブジェを棚上で均等配置
物量が多い場合は、とくに均等配置が有効的
ガラス瓶は、手に入りやすいアイテム
機能的なカゴも、均等配置が実現しやすい
異なる動物のオブジェでも、「素材」と「色」を揃えることでまとまる
ジグザグ配置
本棚の中や、飾り棚の中など、ディスプレイする場所が
1つではなく、2段、3段と複数にまたがる場合があります。
その時には、それぞれ単体のディスプレイのリズムだけ
ではなく「1段目×2段目×3段目」という風にそれぞれ
のディスプレイを全体感として捉える必要があります。
そんな時に、プロが意識しているのが「ジグザグ配置」です。
複数のディスプレイが互いに影響を与え合うときには、
画像のように、ジグザグにディスプレイが存在する様
に、左右に場所を変えながらディスプレイを行います。
そうすることで、全体的にリズムが生まれるのです。
これは、実は三角構図の応用編で、段ごとに左右に
ディスプレイを振り分けることで、大きな三角形を
作っているのです。
飾り棚での多段ディスプレイでも、例を見てみましょう。
このディスプレイは、動物モチーフを各段に用いた
かわいらしい印象のディスプレイです。
△ 一直線に並べると、リズムに乏しい
このような場合に、悪い例としては、動物モチーフを
縦一直線に並べてしまうと、リズムに乏しく、美しく
ありません。
◎ ジグザグに配置すると、美しく見える
ですから、良い例としては、動物モチーフを意識して
「ジグザグ」に配置して、全体的にリズムを生み出す
ことによって、モチーフに動きが出て、きれいなディ
スプレイに仕上がります。
複数の棚をディスプレイするような時は、このセオリー
を理解しておくことで、プロのようにきれいなディス
プレイをすることができるのです。
セオリーのまとめ
さて「ディスプレイの基本を知る。」のセオリーの
前・後編はいかがでしたでしょうか。
ディスプレイというと、ついつい「センス」という言葉
と結びつけて敬遠してしまいがちです。
ですが、実はプロも基本ルールに則って、三角構図を
組み合わせることで、複雑で奥深いディスプレイを作
り上げています。
つまりは「三角構図」の基本さえ抑えておけば、誰でも
美しいディスプレイを作ることができるのです。
あらためてまとめますと、
スタイリングの課題
- お部屋を飾りたいけど、やり方がわからない
- ディスプレイが苦手
解決のためのセオリー
- ディスプレイに最適な場所を知る
- ディスプレイに最適なアイテムを知る
- 三角構図を理解する
スタイリングセオリーの効果
- センス不要で、ディスプレイができる
- 飾るのが楽しくなる
です。
ディスプレイと聞くと、初心者の方は「何を」「どう」
飾っていいのか分からず、ためらってしまいがちです。
でも、上記で紹介したような「セオリー」を頭に入れて
飾るモノを選んだり、飾り方を工夫するだけで、誰でも
ディスプレイは簡単に成功させることができます。
部屋中を飾る必要はありません。
フォーカルポイントとなる場所だけで良いので、三角
構図のセオリーを参考に、ディスプレイにチャレンジ
してみてください。