ユニットシェルフ「R.U.S」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。
こんにちは。ヤマモトです。
先日、1年以上におよぶ長い時間をかけて、開発に
取り組んできたオリジナル収納家具「R.U.S」を発売
することが出来ました。
今回のマガジンは、R.U.Sの企画経緯やコンセプト設計
について、すこしお話していこうと思います。
"木製家具"を感じられるユニットシェルフを目指して。
R.U.Sは「ユニットシェルフ」と呼ばれる家具で、
「フレーム」と「棚」を自在に組み合わせて、様々な
カタチの収納を作れる家具のことを指します。
ユニットシェルフは、以前からいろんなメーカーから
発売されており、日本ではERECTA社の「エレクター」
などが有名です。
エレクターは、米国生まれでシンプルなシルバー色が
特徴で、シルバーの円柱ポール4本に、シルバーの
格子状の棚が数枚載っているといえば、「あぁ!」と
イメージが浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
日本で発売されているユニットシェルフはほかにも、
スウェーデンのStringや無印良品のユニットシェルフ、
D&DEPARTMENTの什器、ルミナスなどがあり、
そのほかにも様々なタイプや価格帯の製品が
発売されています。
そんなたくさんの種類が発売されている中でのリセノ
でのユニットシェルフの発売は、なぜ今さら・・・と思わ
れるかもしれません。
でも、そこにはちょっとしたこだわりがあります。
"板目"の採用と、ピカピカにしすぎないこと
R.U.Sを製作した大きな理由の1つは「木製家具」と
しての匂いを感じられるようなユニットシェルフを
作りたかったということです。
ユニットシェルフは本来、工場やオフィス、店舗など
高い利便性を求めるシーンで多く導入されていること
からも分かるとおり、「無骨」「シンプル」という
方向にデザインが寄っています。
これは、いくつものシェルフを連続で並べたり、
出来る限り楽に設置できるように機能性を重視し、
軽くシンプルに作られているのが理由のようです。
僕たちも自由に組み換えができるシェルフというのは
ブランドコンセプトとの合致の高さもあり、開発に
大きな可能性を感じていましたが、機能性を重視した
シンプルなデザインにはどこか物足りなさを感じ、
できれば、より「木製家具」を所有する"満足感"を
共存させたいと考えていました。
そこで生まれたのがR.U.Sです。
R.U.Sの最大のポイントは、オークの木目を強調した
「板目」突板を使用した棚・キャビネットパーツです。
安価な製品は、プリントやメラミン化粧板を採用する
ことが多いですが、R.U.Sでは突板で本物の木を使用し
さらに「板目」突板を採用しました。
板目は、木の木目模様(たけのこのような模様)が
大きく入っており、木製家具特有の"木"の存在を
感じさせてくれます。
板目?柾目?節あり? 家具選びは、<木目>にも注目しよう!
この板目を採用することにより、ユニットシェルフで
ありながら、木製家具の風合いを持たせることができました。
また、通常は考慮されづらい側面、中面、背面にまで
すべて突板を張っています。
収納部材の全ての面に突板で仕上げているのは、
R.U.Sの完成度を求めたこだわりのポイントです。
さらに木材以外にも、マットな塗装を施したアイアン、
脚部にあしらった上品な真鍮を採用し、ピカピカでは
なく長年愛用してきたような、落ち着きのある家具に
仕上げました。
これらの意匠を掛け合わせたことにより、これまでの
ユニットシェルフにあったような「シンプル/無骨」
というイメージではなく、木製家具に近いデザインを
表現できたのです。
"自立式"で賃貸から、未来の新生活まで
また、R.U.Sのもうひとつのポイントは、自立式ということです。
ユニットシェルフには筋交いで支える「自立式」と、
壁にビスを打つ「壁固定式」があります。
たとえば、壁固定式の代表は「String」です。
壁固定式は、住宅の躯体である柱にビスでフレームを
固定し、柱に強度を依存できるので、棚全体の重量を
支えることができ、フレームを細くスマートにでき、
デザインの優位性と、配置の自由を得ています。
Stringはデザインがとても美しく、素晴らしい製品
ですが、懸念点として、壁に穴を開けるのを躊躇する
場合が問題となりがちです。
僕たちも自立式と壁固定式の採用についてはとても
迷いましたが、やはり賃貸で手軽にスタートして
欲しいという思いから、自立式を採用しました。
自立式はその名の通り、自分で立つことができ、
筋交いといわれる×型フレームが背面に入ることが
特徴です。
筋交いは一見、無用なデザインにも思えますが、
連続的に入ることにより、シンメトリーな印象に
昇華させることができます。
フレーム自体の強度も必要ですが、その中でも、
提携工場と協議をしながら、よりスマートに見える
ように試行を重ね、良い製品が完成しました。
なにより、自立式は賃貸でも気軽に導入できるので、
1人暮らしの時には、TVボードやワードローブとして、
また、結婚などの新生活の移行時には、キッチン収納
に変化させるなど、賃貸から家の購入など未来の生活
への対応まで、自由な発想で使っていただければと
思います。
5cmピッチで最大容量の収納を
また、さらなるこだわりのポイントとして、
フレームの可変幅は、5cmきざみを採用しました。
もう少し緩やかなピッチにしようかとも考えましたが、
本を入れるのにも、食器を入れるのにも、小さな住宅
の中で、最大容量の収納を実現していただくために、
細やかなピッチに仕上げました。
「あー、惜しいけど、微妙に入らない」なんてことが、
コーヒーミルとかで結構あるという実体験から、可能
な限り、自由な可変幅の収納が欲しかったのです。
コーヒー好きの人とか、本をたくさんお持ちの方に
長くご愛用いただける様に、かゆいところにまで
手が届く仕様になっています。
WIRY/NOANAとのクロスコーディネートも可能にしました。
さて、R.U.Sシリーズとしての特徴としてもうひとつ
ご紹介したいのは、Re:CENO PRODUCTの他シリーズ
とのコーディネート性です。
WIRYシリーズ/NOANAシリーズ
上の写真は京都店ですが、ソファーはNOANA、
テーブルはWIRY、シェルフはR.U.Sを使用しています。
R.U.SはWIRYと同じ工場で作っており、黒アイアンや
ウッドの塗装はWIRYと同様で、色合わせもばっちり
ですし、NOANAについても色感を合わせています。
いままでのRe:CENO PRODUCTの各シリーズは、
それぞれが独立して存在していましたが、これからは、
シリーズを横断的にコーディネートいただけるように
クロスデザインを行っています。
今後、さらにバリエーションを開発予定です。
さて、今回はざっとではありますが、R.U.Sの企画経緯
やコンセプト設計などをご紹介させていただきました。
R.U.Sをはじめとした Re:CENO PRODUCTは、
「心地のいいデザイン」
「長く使える工夫」
「適切な選択」
をコンセプトに、他にはありそうでない、かゆいところ
に手が届くような長く愛せる家具を作っています。
R.U.Sは発売して2週間ほどで数十件のお客様より
ご注文を頂戴しており、さらにバリエーションの開発
に、加速がかかっています。
今、サンプル企画中なのは、
・奥行きが20cm程度の奥行きの薄いVer.
・木製家具としての存在感をさらに引き出すバックパネル
・棚板がブルーやグレーなどのカラーリングVer.
このあたりは開発しやすいものは、早ければ夏頃に、
さまざまな試行錯誤が必要なものは1年スパンの開発に
なっていくと思います。
R.U.Sはさらに発展していきますので、家具セレクトの
一端に入れていただければ幸いです。
宜しくお願いいたします。
R.U.S ユニットシェルフ