「キッズロッキングチェア」の企画経緯と
コンセプト設計についてお話します。
こんにちは。ヤマモトです。
Re:CENO productから、初めての子供用家具である
「キッズロッキングチェア」をリリースします。
インドネシア産のラタンを編みこんだ、丸っこくて、
可愛らしいフォルムのこのロッキングチェア。
実は、アンティーク品を基に復刻した製品です。
市場でよく見かける名作アンティーク品ではなく、
市場でめったに見かけない「名もなきアンティーク」
品です。
ただ、そのフォルムはとても美しく、名作にも引けを
取らない品である気がしています。
本日のマガジンでは、この「名もなきアンティーク」
であるラタン製キッズロッキングチェアの復刻の経緯
と、現代の生活への取り入れる工夫を紐解いていこう
と思います。
出会いは、岡山のアンティーク蚤の市。
見つけた瞬間に「うわっ! かわいい!」
今回の製品の基となるアンティークロッキングチェア
と出会ったのは、岡山で開催されたアンティーク品の
蚤の市でした。
取引先の代表が主催されているこの蚤の市は、岡山を
はじめとした有名アンティークショップが一同に会する
中規模の蚤の市です。
アンティーク品は、年月を重ねた独特の味わいがあり、
リセノが提唱する「ナチュラルヴィンテージ」の
スタイリングにも欠かせないアイテムです。
「ナチュラルヴィンテージ」スタイリングのメリットと、実践ポイントを紐解きます。
岡山にはELDさんをはじめとして、リセノの取引先が
数社あり、その仕事に絡めての出張の際に参加しました。
「なにか良いアンティーク品あるかな?」
「良いのがあれば、コーディネートに使おう」
「まぁ、とにかく楽しもう!」
というような軽い気持ちで、スタッフみんなで
わいわいと参戦した蚤の市。
ここで、このロッキングチェアと出会いました。
芝生に置かれたこのチェアを見つけた時に、すぐに
「うわっ! かわいい!」と飛びつきました。
線の細さと、ゆるやかな曲線。
飴色になった深い色合いのラタン。
片手でひょいっと持ち上げられる軽さ。
そして、何よりも子供用のかわいいサイズ。
次の瞬間には「これください!」と、値段も見ずに
買い付けていたのでした(笑)
購入したお店に聞いたところによると、詳細は不明
ながら、おそらくはイギリスの1970年頃の品だそう。
このかわいいロッキングチェアに、すこし工夫を足して
素敵な製品にするイメージは、すぐに沸きました。
この後、バラバラに分かれた参戦メンバーがお昼に
集まって戦利品を見せ合う中、僕がもっとも自信満々
の笑顔だったことは、言うまでもありません(笑)
いつもお世話になっているインドネシアの
ラタン工場に復刻を依頼しました。
ラタンで編んだチェアということで、ラタンといえば
インドネシア。リセノでもラタン製品は、いろいろと
展開しています。
たとえば、こんなスツールや、
こんなバスケットも、ラタン製品です。
これらのラタン製品を、インドネシアの自社工場で
製造している企業様に復刻の相談をしました。
こんな風に手作業で、丁寧にものづくりをしている
高品質な製品をつくる信頼できる工場です。
実際のアンティーク品を見ていただき、構造的にも、
素材的にも、問題なく復刻できるだろうとのことで
快諾いただき、サンプルの生産がスタートしました。
お子様がより安全・快適に過ごせる様に
「専用シートクッション」を作りました。
信頼できる工場に依頼してから、約2か月ほど。
画像で工場の職人さんとやり取りしながら、少しずつ
修正を重ねていき、ファーストサンプルとして国内に
サンプル入荷したのが、下の画像です。
多くの実績を誇るラタン専門工場なので、サンプルの
1回目から、製品としての完成度は抜群!
アンティーク製品の復刻として、イメージしていた
通りの文句のつけようのない美しい出来栄えでした。
さて、ここからリセノとして、現代の生活にどの様に
フィットさせるのかの「見立て」を入れます。
今回のチェアは、小さなお子様専用です。
小さな子供が座りたくなるようなチェアにするには
どの様に工夫をすればいいだろうと考えました。
「子供がなんとなくちょこんと座りに行くイメージ」
「ひとりでもご機嫌に絵本を読んでくれるイメージ」
「ゆらゆらと座ったまま自然と眠ってしまうイメージ」
そんな姿を想像しながら、どのような工夫を入れるか
を想像を膨らませます。
その中でひとつ問題になりそうだなと思ったのが、
ラタンの線が細いためにできるたくさんの隙間です。
子供の小さな手や足では、その隙間に挟まってケガを
してしまったり、座り心地が悪いと、ずっとは座って
くれないだろうと思いました。
そこで、アンティークにはない「柔らかくて、手触り
の良い生地を使ったクッション」を追加で敷くことで
ケガの危険性を減らし、快適な座り心地をプラスする
ことを思いつきました。
「ネップツイード」と「リネン」の
2種類の生地でクッションを作りました。
生地は、直接体に触れる部分ですので、「心地」を
大切にするリセノの製品づくりでは、毎回特にこだわる
ポイントです。
今回も国産の生地の中から、2種類の生地を用意しました。
ひとつは「ネップツイード生地」です。
ネップ生地とは、芯となる「芯糸」に「からみ糸」が
からんで、コブのような不規則性を作った糸を使った
生地です。
写真のように、異なる色の糸を混ぜることによって、
可愛らしいつぶつぶの様なデザインになります。
素材には、アクリル綿とポリエステルを編み込み、
針加工することにより、ツイードの様な質感に
仕上げた国産生地です。
こちらは、上画像の「マスタード色」の他に、
「グレー色」と「ブラウン色」の3色展開です。
また、もう1つの生地は「リネン生地」。リセノの
製品では「AGRAソファ」でも使用しています。
こちらは、シンプルに1色のみです。
この2種類の生地/合計4色の展開でスタートします。
ネップは柔らかな質感がとても気持ちよく、色違いの
糸が入っているのは、子供椅子らしい可愛さがあります。
リネンは、素材感をそのまま生かしたシンプルながら
も、上質な印象を与えてくれます。
どちらの生地もお勧めですので、好みに合わせてお選び
いただければと思います。
ちなみに、生地と同色で、クルミボタンをあしらった
のも、細かなこだわりポイントです。
また、毎度おなじみの余談ですが、どちらの生地も
国内製品を、インドネシアへわざわざ持って行き、
縫製を行って、再度国内へ入れるというややこしい
手順を踏んで、価格を抑える努力をしています。
ですので、市場価格以上のクオリティを出せていると
思います。
対象年齢は、2歳~5歳くらい。
ゆらゆらとご機嫌さんです。
3歳/身長95cm
こちらのキッズロッキングチェアですが、
想定している対象年齢は、2歳~5歳です。
ラタンは強い素材ですので、耐荷重的にはまったく
問題ないので、単純に体が入らなくなったら座れない
という感じです。
2歳/身長90cm
3歳/身長97cm
4歳/身長100cm
5歳/身長105cm
小さなお子さんが座っている姿は、ゆらゆらとして
なんとも可愛いです。
座っている子供も、見ている大人も、みんなが幸せに
なるチェアに仕上がったと思います。
子供が大きくなった後は、
インテリアオブジェとして素敵です。
そもそものアンティーク品は、1970年代のもの。
つまりは50年前の製品です。
ラタンはとても強い素材なので、世代を超えて使用
することも可能ですので、北欧の木製家具のように
親から子へと引き継いでいくのも素敵だと思います。
また、そこまでの長いスパンじゃなくても、子供が
すこし大きくなって座れなくなった時には、荷物や
小物を置いておくオブジェとしての使い方も素敵かな
と思います。
アクセントアイテムとして、天然素材がインテリアに
あるのは、コーディネートアイテムとしてもとっても
素敵です。
また、小型犬などのお気に入りの場所としての
使い方もいいかもしれませんね。
ラタンは「強く、軽く、柔らかい」素材で、耐久性が
非常に高く、アンティークとして何世代にも渡って
使われるほど上部な素材です。
また、このチェアには一般的な皮を剥いてピカピカに
磨かれたラタンは使わずに、皮付きのラタンを使用
しています。
皮の色が経年変化により、深い飴色に変化していきます
ので、長くインテリアのアクセントとして活躍して
くれると思います。
現代に復刻した「キッズロッキングチェア」
2020年7月29日より予約発売を開始します。
というわけで、新作のキッズロッキングチェアの復刻
までの経緯と、現代の生活への取り入れるポイントを
紐解いてみました。
今回は企画から行ったというオリジナル製品ではなく、
ヴィンテージアイテムを復刻し、そこに現代の暮らし
にフィットするようにクッションを追加した製品です。
いつもとは異なるアプローチですが、リセノとして
「ナチュラルヴィンテージ」というテーマのもと、
現代の家具に差し込むための「アクセントアイテム」
の役割として、自信を持っておすすめできる製品に
仕上がったと思います。
7月29日にオンラインにて予約販売を開始しまして、
9月上旬頃にはお届けを開始できると思います。
軽くて小さな製品ですので、プレゼントとしても是非
お選びいただければと思います。