Web Magazine

ワークデスク「WIRY DESK」の企画経緯と
コンセプト設計についてお話します。

こんにちは。ヤマモトです。

Re:CENO productに、新たにオフィス家具が加わります。

2016年から販売している「WIRYシリーズ」の意匠を
継承した「オフィスデスク」と「チェア」で、自社の
オフィスに使うために企画した家具でもあります。

本日のマガジンでは、この新作のオフィス家具について
企画の経緯とコンセプト設計について紐解いてきます。

なお、今回のマガジンは、企画経緯&デスクの要点を
紐解いた<前編>と、オフィスチェアの要点を紐解い
た<後編>との2部構成でお届けいたします。

後編:「WIRY OFFICE CHAIR」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。

Flavorオフィスのためにデザインした
ナチュラルヴィンテージのオフィス家具

20210628-25.jpg

今回リリースするオフィスデスクとオフィスチェアは、
実は、僕たちの本社用にデザインしたものです。

僕たちの本社は京都にあり、3F建てのレトロビルを
改装して、1Fを店舗、2F・3Fをオフィスとして利用
しています。

僕たちが引っ越してくる前は岩盤浴のお店で、室内も
和風な内装にしてあったものを、2013年の6月にリノ
ベーションをして使い始めたので、今年でもう丸8年
もここで活動をしています。

20210628-26.jpg

20210628-27.jpg

8年も経つと、その間に国内外のたくさんの場所を訪れ
て、良い建物や家具、インテリア、などを見てきまし
たので、インテリアにもずいぶんと詳しくなりました。

そうすると、8年前は「我ながらめっちゃいいやん!」
と思った内装もずいぶんと古く感じはじめ、そろそろ
もう一度リノベーションをしようかという流れになり
ました。

まずはお客様をお迎えする店舗から、ということで、
店舗のリノベーションをちょうど1年前に終えて、僕
たちが掲げる「ナチュラルヴィンテージ」を表現する
内装に生まれ変わりました。

2020年6月1日 京都店をリニューアルオープンしました!

2020_06_01_4081.jpg

店舗のリノベーションが無事完成し、次はオフィスに
着手しようとした際に、みんなが使うデスクとチェア
をどうしようかという話になりました。

現在は、8年前から使い続けているごくごく一般的な
コクヨのデスクと、ありきたりなオフィスチェアです。

20210628-01.jpg

使い心地は悪くないのですが、あまりおしゃれとは
いえません。

そこで、どんな家具で仕事をしたいかを、最初に
みんなで話し合いました。

「できれば、無垢材をつかったデスクがいいね。」
「オークのデスクが並んだら、めっちゃ素敵だよね。」
「チェアも替えたいです!」

こんな風に、家具屋のオフィスらしい意匠に変えたい
ね... というのが、みんなの共通意見でした。

デスクは全体を木製にしてしまうと、脚が太くなり、
よく言うと「重厚感」が出ますが、さすがにたくさん
並ぶと、かなり重い印象になってしまいます。

というわけで、脚はアイアンを使ったWIRYの意匠が
最適だろうというのはすぐに思いつきました。

アイアンは木と比べて耐久性が高いので、細くても
しっかりと重量を支えられます。

脚が細いことで、小さなオフィスでも、足元を広く
取れますし、並んだときにも軽やかな印象を感じられ
ます。

20210628-30.jpg

デスクは、わりとすんなりと方向性は決まりました。

続いては、オフィスチェアです。

オフィスチェアは、1日8時間パソコンにがっつりと
向かうものなので、座り心地はとても大事です。

ダイニングなどで使うチェアでは、人によって座高が
異なるので、長くいろんな人が使うのには向きません。

オフィスチェアとして、高さ調整機能は必須です。

また、座り心地も、8時間ほぼ座りっぱなしになるので
通常のチェアでは、お尻が痛くなる可能性もあります。

やはりオフィスチェアは、座り心地が命です。

そんな流れで、最初は有名どころのハーマンミラーや
ヴィトラのチェアを見に行ったり、取引先様からサン
プルを貸してもらって、しばらく使ったりとたくさん
試しました。

20210621_1.jpg

どちらのオフィスチェアも、座り心地は格別に良く、
しなりのある座り心地は、確かなブランドの信頼度を
感じるもので、一時はヴィトラで揃えようと、決めま
した。

ただ、家具屋として、どこか自分たちで作らなくて
いいのか という自問自答がありました。

名作のオフィスチェアを会社全員分を買ってしまえば、
向こう10年以上は変えずに使えてしまいます。

並んだ姿も美しいとは思いますが、どうしても納得で
きない自分がいました。

そして、最終の決定会議でみんなで集まった時に、
言いました。

「やっぱり、自分たちで作ろう。

 ナチュラルヴィンテージでイメージするオフィスに
 しては、やっぱりメカニカルすぎるし、なんとなく
 うちのオフィスっぽくないと思うんよね。

 なにより毎日使うんだから、自分たちで作ったデスク
 とチェアを使う方が、長く愛せるやん。」

ヴィトラの最新チェアを楽しみにしていたスタッフは
少し驚いていましたが、どこか「まー、そう言いだす
気はしてました。」と、諦めたようにも見えました。

かくして、オフィスリノベーションの計画とともに、
オフィス家具の企画も始まったのでした。

オフィスや、書斎に。
「木製×アイアンデスク」のしっかりデスク

20210628-02.jpg

さて、こうして出来上がったオリジナルのオフィス
家具について、ポイントをご紹介していきます。

まずは、デスクからです。

サイズは、幅120cm × 奥行き70cm × 高さ71cmの
ごく一般的なサイズを採用しました。

ここは奇をてらうよりも、オフィス家具メーカーが
もっとも一般的に販売しているサイズの方が、多くの
実績のもと、最適なサイズになっていると考えたから
です。

実際に、いまオフィスで使っているのもこのサイズの
デスクで、横や前の人との距離も、近すぎず遠すぎず
でちょうど良く、最適なサイジングだと思います。

20210628-03.jpg

使っていく中でもっとも目にする天板は、厚み3㎝の
オーク無垢材を採用しました。ダイニングテーブルと
同じ厚みで、非常に贅沢な厚みです。

しっかりとした「木製家具」感があります。

また、このオーク天板に取り入れた少しの工夫として、
前面にゆるやかな曲面を付けています。

20210628-04.jpg

キーボードを打つ時に、この部分がちょうど腕にあたる
のですが、ここが角になっていると、地味に痛いのです。

20210628-05.jpg

僕も以前はアームレストを使っていたのですが、この
デスクにしてからは不要になりました。

天板にはウレタン塗装をしているので、汚れにも強く、
汚れた時には水拭きやアルコール除菌もOKで、木製
ながらもいつも清潔にお使いいただけます。

また、ウレタン塗装は水にも強いので、グラスなどを
直接置いても、水分が輪染みになったりもしないので
とっても快適です。

20210628-06.jpg

木製の家具の意匠ながらも、基本的な部分をしっかり
と設計しているので、いままでの家具よりも、さらに
快適に、気軽に、清潔にお使いいただけます。

A4サイズも収納できる「2杯の引き出し」と、
裏側には、秘密の収納エリアも。

20210628-23.jpg

収納は、A4サイズがきっちりと入る引き出しを2杯
付けています。

20210628-08.jpg

13インチのノートパソコンも入りますので、必要な
ものは大抵収まると思います。

20210628-09.jpg

また、引き出しの裏側には、秘密のポケットを設けました。

このポケットは、幅30cm × 奥行き10cmのサイズが
あり、5口コンセントやルーターなどがすっぽりと
収まります。

20210628-32.jpg

天板の中央に空いている穴からパソコンや照明のコン
セントを落とし、この裏側ポケットにつなげます。

そうすることで、足元がごちゃごちゃとすることなく
最小限の線だけが降りてくるという想定です。

また、オフィスや、自宅でしっかりと作業される方は、
デスクトップPCを使われている方も多いと思いますの
で、引き出しの下にはデスクトップPCを置ける高さ
を確保しています。

20210628-11.jpg

デスクトップPCは、足元で邪魔になりがちなので、
収納の下のデッドスペースに入れ込むことで、より
足元が開放的に使えます。

ノートPCの方は、カゴなどを使って必要なものを
収納するのにもいいかもですね。

うちのオフィスも専用ロッカーを用意するスペースが
ないので、バッグなどはここにかごを置いて、入れて
もらう予定です。

20210628-12.jpg

あと、引き出しは「左Ver.」と「右Ver.」を選んで
ご購入いただける様に、両方作りました。

20210628-31.jpg

これは、オフィスにしても、自宅にしても、どちらに
コンセントがあるかとか、ドアがどちらにあるかとか
それぞれ状況が異なるだろうということで、両方の
タイプを作りました。

また、引き出しが左右の両Ver.があることで、例えば
オフィスで対面になった際に、引き出し位置を合わせ
ることで、たくさんのデスクが並んだ時に、すっきり
と見せることができます。

20210628-28.jpg

20210628-29.jpg

また、オフィスなどでは4台のデスクをくっつけた
シマを作ることが多いと思いますが、OAフロアの場合
床の1か所から、コンセントやLANのハブが出ています。

そうした場合、1か所にコンセントを集約できる方が
美しくできますので、オフィスを美しく設計する際に
も、役立つと思います。

おなじみの特注の真鍮で、
取っ手と脚元にアクセントを。

20210628-15.jpg

引き出し前面には、美しいオークの板目を配しています
が、そこに、もう一つアクセントを加えています。

WIRYシリーズに共通してアクセントとして入れている
「真鍮」パーツです。

20210628-17.jpg

同じWIRYシリーズの真鍮パーツを製造してもらって
いる工場に依頼し、専用で特注の真鍮取っ手を
一から成型して、作ってもらっています。

国産なら真鍮の取っ手は1つあたり4,000~5,000円ほど
しますから、これだけでもかなりの高級品です。

今回はWIRYの工場に製造を依頼していますから、
価格はもちろんかなり下がっています。

ソリッドの真鍮なので、使っていく中で経年変化を
していきますので、長く使えば使うほど、より味わいを
増していきます。

「ナチュラル」と「ミッドブラウン」の
2つのカラーをご用意しました。

20210628-30.jpg

カラーは、いつも通りナチュラルと、ミッドブラウン
の2色をご用意しました。

お好みに合わせてお選びいただければと思います。

20210628-19.jpg

「WIRY DESK」
2021年6月30日より予約発売を開始します。

20210628-21.jpg

というわけで、新作のオフィス家具について、企画の
経緯とコンセプト設計について紐解いてきましたが、
長くなってきましたので、オフィスチェアについては
後編に続きます。

リモートワークが推奨され、自宅でのお仕事時間が
増えた方も多いと思います。

短い期間のリモートワークなら良かったのですが、
これからも続くであろう自宅仕事において、体を痛め
ないためには、きちんとした家具でお仕事することが
必須です。

僕たちのオフィスのリノベーションも、コロナの影響
で着手が遅れていますが、今年度中には実施予定です。
完成したら、そちらの写真も追加しますね。

ぜひ後編の<チェア編>もお読みいただき、オフィス
家具選びの候補に加えていただければと思います。

後編:「WIRY OFFICE CHAIR」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。

※2021年10月11日追記

オフィスリノベーションが完了し、スタッフ用として
WIRYデスク&チェアを導入しました^^

20211011.jpg

20211011-2.jpg

みんなの保存数:59

雑貨・食器特集

リビング家具特集

お部屋の衣替え
リセノ初の書籍出版
リセノ初の書籍出版
センスのいらないインテリア
ナチュラルヴィンテージを知る
インテリアを学ぶ
インテリアを楽しむ
リセノのこと
特集
人気の連載

「Re:CENO product」の最新記事 4件

2023年12月25日(月)
Re:CENO product

ナポレオンシェルフ「H/A WALL SHELF」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。

アンティーク意匠を復刻したウォールシェルフをリリースします。

BM 山本 18
2023年12月27日(水)
僕と私の愛用品

【お家で使ってみた。】スタッフ3名が、復刻家具「ウォールシェルフ H/A」をレビュー

フランスのアンティーク家具を復刻。今回は、5つの「コーディネート実例」と「アイテム選びのコツ」についてご紹介します。

編集部 江上 9
2023年10月12日(木)
Re:CENO product

オーダーテーブル「OAK TABLE」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。

「Re:CENO product」から初めてとなる「カスタムオーダー対応」のテーブルをリリースします。

BM 山本 7
2024年3月06日(水)
Re:CENO product

シートクッション「folk Seat cushion」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。

新プロダクトとして、オリジナルのチェアにフィットする「シートクッション」をリリースいたします。

BM 山本 3

「Re:CENO product」の人気記事 4件

2021年2月11日(木)
Re:CENO product

フェザーソファ「AGRAカウチ/1.5人掛け」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。

AGRAシリーズに新たに仲間入りする「カウチソファ」「1.5人掛けソファ」について、利用シーンとともに紐解いていきます。

BM 山本 639
2019年8月06日(火)
Re:CENO product

「folk伸長式ダイニングテーブル」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。

「伸長式」「楕円形」に仕上げたオリジナルダイニングテーブルについて、設計コンセプトを紐解いていきます。

BM 山本 539
2020年2月22日(土)
Re:CENO product

フェザーソファ「AGRA」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。

Re:CENO productから2年半ぶりに登場する新作ソファの企画経緯とコンセプトをご紹介します。

BM 山本 372
2020年9月04日(金)
書斎の基本

ユニットシェルフ R.U.Sでつくる、「デスク」の魅力をご紹介します。

ユニットシェルフだからこそ、気軽に取り入れられる「デスク」としての魅力をご紹介します。

店舗MG 岩田 335

インテリアを学ぶ、楽しむ、好きになる。
『Re:CENO Mag』