サイドテーブル「RattanMix Nest table」の企画経緯と
コンセプト設計についてお話します。
こんにちは。ヤマモトです。
リセノのオリジナル家具「Re:CENO product」から
初となるサイドテーブルをリリースします。
リビングに置くテーブルと言うと「ソファーの前に」
という配置を思い浮かべる方も多いと思いますが、
今回は「ソファーの横に置く」ことを想定した製品
です。
現代のリビングにおけるテーブルの役割を、改めて
捉えなおし、最適化を図ることで、日本の小さな
リビングを、広く使おうという提案をしています。
本日のマガジンでは、このサイドテーブルにまつわる
企画経緯とコンセプト設計を、紐解いていこうと思います。
「昭和のちゃぶ台」文化と、
「現代的な暮らし」を考える。
みなさんのお家のリビングでは、家具をどんな風に
レイアウトしていますか?
「ソファーがあって、その前にテーブルを置いて......」
というのが、一般的なイメージとして根強いので、
そのようにされている方も多いのではないでしょうか。
「ちゃぶ台」に代表される様に、家の中心である居間
にテーブルがあるのが、日本の旧来文化です。
夕方になったら、家族が居間に集まってごはんを食べ、
そのままその場所でテレビを見たり、宿題をしたりと
団らんし、その後はちゃぶ台を畳んで、居間にお布団
を敷いて寝る。
これが、昭和の古き良き日本文化ですよね。
僕も小さい頃は、家が小さかったこともあり、まだ
そんなスタイルで暮らしていました。
では、現代の暮らしはどうでしょう。
現代では、食事はダイニングで、団らんはリビングで、
寝るときは寝室で...... という風に、各部屋を目的別に
使い分けるのが一般的にになりました。
ですから、従来は「居間」としてさまざまな役割を
一手に担っていた場所は「リビング」として、食事や
就寝をそれぞれの部屋に役割を受け渡し「くつろぐ」
に特化できる場所になりました。
テレビを見たり、ソファーで寝転がったり、ゲームを
したり、子供がおもちゃを広げたりと、リビングは、
みんなで「リラックスを目的に集まる場所」だけを
役割にできるようになったのです。
この役割分担によって、リビングでのテーブルの役割
は、大きく変わりました。
お酒を飲んだり、おつまみを食べたり、動画を見たり、
テレビを見ながらちょっとした調べ物をしたり、と
いったような「くつろぐ時間をサポートする」ことが、
リビングのテーブルの役割に変化したのです。
この観点であらためて見返したときに、
「もしかしたら、リビングに置くテーブルは、
小さなサイドテーブルでも良いのかも?」
と、考えはじめたのが、製品開発のきっかけです。
よくよく考えると、日本の住宅は狭く、リビングとし
て、取れる大きさは限られています。
「ソファー、テーブル、テレビボード」をすべてフル
サイズで置こうとすると、どうしても狭苦しくなって
しまうことも多いでしょう。
ですから「ソファー前にしっかりしたテーブル」では
なく「ソファーの横にサポート的なテーブル」を配置
することで、テーブルのスペース分を減らすことが
でき、リビングを広く使うことができます。
そうすることで、ソファー前のスペースは、普段は
広い空間を取ることができ、ときには子供の遊び場所
にすることもできるのです。
現代のリビングの役割を見つめなおし、必要な機能性
として「サイドテーブル」を選択するという発想の
転換を促すことが「生活の不の解消」につながれば
と思います。
リビングを広く使いながら、
リビングをより快適にする「ネストテーブル」
さて、そんな「ちゃぶ台文化」から、現代のスタイル
にあったリビングへの転換としてのサイドテーブルの
提案となる今回の製品ですが、ただ小さくなっただけ
では、メリット・デメリットの取り合いになってしま
います。
ですから、今回提案するサイドテーブルは、
「背が高く、大きいサイズのウッドテーブル」
「背が低く、小さいサイズのラタンテーブル」
の2つのテーブルが「ネスト=入れ子」になっている
仕様にデザインしました。
普段はコンパクトにまとまりながらも、使うときには
リビングで様々な役割を担えるようにと考えた結果、
ネストという答えにたどり着きました。
さっそく見ていきましょう。
「背が高く、大きいウッドテーブル」は、
ソファーでの食事や、PC作業をサポートします。
まずは「背が高く、大きいサイズのウッドテーブル」
について、ご紹介していきましょう。
ワンルームにお住まいの方や、お仕事が忙しい方など、
リビングで、パソコンやタブレットで調べ物をしたり、
メールだけ返信したりという場面ってありますよね。
デスクや、ダイニングに向かうほどじゃないから、
リビングでテレビを「ながら見」しながら、パソコン
を使いたいような時です。
そんなときに、使ってほしいのが、こちらのウッド
テーブルです。
テーブルの直径は、45cm。
ノートパソコンを置いて、タイピングもしっかりと
できる、ちょうど良いサイズ感にしています。
リビングのテーブルとしてはこぶりながらも、
しっかりと必要なサイズ感は補えています。
また、高さにもこだわっています。
ソファーに座ってパソコンをする場合は、膝の上に
乗せてパソコンをタイピングするか、床に座って、
テーブルに向かって、パソコンをするか、という方が
多いと思います。
でも、わりと使いづらかったり、傍から見て、美しい
姿ではないですよね。
今回のサイドテーブルは、高さ52cmと、通常の
ローテーブルよりも高く設計しています。
多くのソファーの座面高は、40cm程度の物が多いので
ソファーに座りながら、パソコンをするのにちょうど
良い高さに設計しています。
また、ひじ掛けの高さもクリアできるものが多いので
タブレットなどを置いて、動画鑑賞などにもちょうど
良い高さかなと思います。
つまり「背が高く、大きいサイズのウッドテーブル」
は、「リビングで、仕事もしたい現代人」に向けて、
従来のリビングテーブルよりも、さらに良い解決策を
提示する製品として、位置付けています。
「背が低く、小さいラタンテーブル」は、
しっぽりと夜を楽しむのに最適です。
次に「背が低く、小さいラタンテーブル」について
ご紹介していきましょう。
こちらのテーブルは、中央に「ラタン」をあしらった
ディテール感のあるデザインです。
直径35cm×高さ45cmと、ウッドテーブルと比べると、
さらにこぶりなサイズ感です。
週末の夜に、ソファーに座って、映画鑑賞をするとき。
そんなときに、ソファー横からひょいっと取り出して
スナックや、飲み物を横に置いて、だらっと過ごすの
に、最高の相棒です。
ソファーの前においても、そのサイズ感と、ラタンの
抜け感があることで、ほとんど圧迫感がなく、取り回
しの良さが、最大の特徴です。
重量もわずか1.6kgと、とっても軽いのも、
感じていただきたい嬉しいポイント。
女性や、お子様でも、軽々と持ち出してこられます。
また、ラタンを採用することで、ほど良い「抜け感」
と「ディテール感」をデザインとして加えており、
ナチュラルヴィンテージスタイルとしても映えます。
また、通常、ラタンは長く使用しているうちに重さで
たわんでくることがありますが、その心配も考慮済です。
ラタンの下にネットを張っていて、このネットが重量
をしっかりと支えてくれるので、ラタンがたわむこと
なく、長くご愛用いただけることを想定しています。
また、小さくてどこにでもフィットするテーブルです
から、一人暮らしのワンルームならば、ソファー前で
ひとつ使って、もうひとつはベッドの横においても
いいかもですね。
引っ越して、お部屋が大きくなっても、なんなりと
使えるフレキシブルさが魅力でもあります。
無垢のオーク材で、美しく。
水にも強く、お手入れも楽々です。
それぞれのテーブルは、無垢の北米産オーク材を採用
し、木の美しさを感じられます。
強い樹種ですから、何十年も使っていただくことを
想定しています。
飽きの来ないシンプルなデザインと、どこにでも
フィットするサイズに設計していますので、長く
ご愛用いただければ嬉しいなと思います。
また、ウッド部分はすべて「ウレタン塗装」で仕上げ
ていますので、グラスをそのまま置いても傷むことが
なく、気兼ねなく晩酌などをお楽しみいただけます。
ラタン部分は、ウレタン塗装ができない為、ラッカー
塗装で仕上げています。
ラッカー塗装は、それほど水に強い塗装ではないので
すが、もともとラタンは水に強い素材のため、こちら
もグラスそのまま置いていただいても問題ありません。
自宅でもしばらくグラスを置いて実験してみましたが、
特に問題が起こりませんでしたので、大丈夫かなと思います。
床に向かって細くなる「テーパード脚」で、
さらにすっきり、軽快な見た目に。
さて、次にお伝えしたいのは、製品そのものにおける
デザインについてです。
各所こだわって何度も作り直しをしましたが、特に
脚のデザインについては、何度も試行錯誤しました。
ストレート脚にしたり、金属パーツで作ってみたり、
見た目のバランスと、耐久性について、何度も工場と
ディスカッションを重ね、その度に試作も行いました。
当初のストレート脚は、せっかく軽やかに使っていた
だきたいのにも関わらず、思ったよりも強い印象が
出てしまいました。
太さや、高さを何度かやり直したうえで、最終的に行
き着いたのが、今回の床に向かって細くなっていく
「テーパード脚」です。
ソファーの横に置いた際に、なるべく存在感を消し、
リビングで邪魔にならないようにと意識しました。
その結果、天板は20mm厚を採用することで、軽やか
さと軽量化を実現し、また、脚はテーパード仕様に
することで、より軽やかさを感じるようにデザイン
しています。
床に向けて、すこしずつ細くなっていく姿は、
美しさを感じられます。
また、価格を下げるためには、脚を組み立て式にして、
お届け後に取り付けいただく仕様にすれば、配送費を
削れるため、少しでも価格を下げることができます。
ただ、そうすると、天板との取り付け部分に金具を
取り付ける必要があり、横から見える部分が美しく
仕上がりません。
ですから、今回はネストテーブルで有名なアーコール
社に倣って、ウッド仕様の完成品にしています。
すこし価格は上がってしまいますが、耐久性と、丸み
を帯びた美しい接合フォルムに仕上がりましたので、
ご容赦いただければと思います。
「ナチュラル」と「ミッドブラウン」の
2つの色を発売します。
ちなみにカラー展開につきましては、いつも通りの
ナチュラル色と、ミッドブラウン色の2色展開です。
ミッドブラウンは、ナチュラルと比べて、ヴィンテー
ジ感が強いイメージです。
お持ちの家具などに合わせてお選びいただければと
思います。
こだわりを詰め込んだ「RattanMix Nest table」
2022年7月1日より予約発売を開始します。
というわけで、現代の生活様式においてのテーブルの
あり方から紐解き、リビングでの利便性を最大限引き
だすことができるテーブルが完成しました。
ネストされる2つのテーブルが、それぞれ異なる意匠を
もちながら、お互いを引き立てるように活躍する姿は
兄弟を見ているようです。
僕自身も、兄と2人兄弟で、兄は超まじめ、僕は奔放で
それでいながら、不思議と今でも2人で飲みにいける
ほど、仲良しでもあります。
このネストテーブルも、お互いの特技を生かして、お
互いを補い合いながら、みなさんの快適な暮らしの
サポートをしてくれるといいなと思います。
東京・京都・福岡店でも先行で展示していますので、
気になる方はぜひとも店舗にて、風合いや使い心地を
お試しいただければと思います。
Re:CENO product|RattanMix Nest Table