オーダーテーブル「OAK TABLE」の企画経緯と
コンセプト設計についてお話します。
こんにちは。ヤマモトです。
オリジナル家具シリーズ「Re:CENO product」から
初めてとなる「カスタムオーダー対応」のテーブルを
リリースします。
この新作テーブルは、オーク無垢材を贅沢に使用した
王道の意匠に、特殊な機構を使って幕板を取り去り、
チェアをテーブル下にきれいに収められます。
また、素材を活かしたシンプルな構造設計にすること
で、低価格でカスタムオーダーできる様にしました。
カスタム項目も多岐に渡り、幅・奥行きだけでなく、
高さ、天板厚、仕上げ塗装、カラーと、お好みに応じ
て、オーダーいただけます。
本日のマガジンでは、この新作オーダーテーブルの企
画経緯とコンセプト設計について、丁寧に紐解いてい
きます。
贅沢に「オーク無垢材」を使用して、
シンプルで一生使える王道テーブル
このテーブルは、天板・脚ともに、北米産オーク無垢材
を、贅沢に使用しています。
オーク無垢材は、緻密な木目が美しく、見た目に美し
さを感じられるとても人気の木材です。
非常に硬く、頑丈なのが特徴で、古くから家具づくり
に用いられてきました。
このテーブルは、無垢材を贅沢に使った「天板」と、
それを支える太く頑丈な「脚」部分という、たった
2つの要素で構成されています。
頑丈なオーク材と、シンプルな構造によって、数年と
いうタームではなく、はたまた「一生物」ということ
も超えて、親から子へ、子から孫へと、長い時間を共
にする家具となることでしょう。
チェアを収納できるから、足元と通路が広く。
「幕板」を無くした特別設計です。
シンプルな王道デザインのテーブルでありながら、
このテーブルには、ひとつ特徴的な最新の設計が
入っています。
それは、通常のテーブルにある「幕板(まくいた)」
を無くしています。
幕板とは、テーブルの天板の下に一直線に通っている
「横長の板パーツ」のことを言います。
この幕板は、天板のゆがみ(反り)を抑え込んだり、
全体の揺れを抑えたりという役目を持っています。
通常の設計のテーブルにとっては、必要なパーツなの
ですが、今回は特殊な機構パーツを使うことにより、
この「幕板」を無くしています。
細かく説明していきます。
特殊な機構で、高い安定性
まずは、幕板を失くすための設計について、
紐解いていきましょう。
幕板を失くすために必要なのは、天板と脚をつなぐ
設計をどうするかです。
左:幕板なし(特殊機構パーツ仕様) / 右:幕板あり
通常の幕板のあるテーブルの場合、脚は画像の右の様
に、幕板とボルトでつなぎ合わせます。
通常の設計のテーブルの場合には、幕板はこのボルト
部分を隠すための役割も担っています。
一般的な設計のテーブルの場合、このような理由で、
幕板は必要になる部分なのです。
その点、今回のテーブルは、その幕板がありません。
特殊な機構パーツを使用し、そのパーツを天板と、
脚の両方に埋め込む特殊な加工を行うことで
天板と脚をつなぎ合わせています。
この特殊な機構により、幕板がなくても、天板と脚を
がっちりとつなぎ合わせることが出来、揺れのない
テーブルにすることができるのです。
背面には反り防止も、しっかりと。
また、幕板のもうひとつの役目である「天板の反り」
についての対応についてご説明しましょう。
無垢のテーブルを作る際に、気を付けなければいけな
いのが「天板の反り」です。
「木」は、製材された後も、実は生きて呼吸をしています。
例えば、梅雨の時期には湿気を吸って膨張しますし、
冬のエアコンの時期には、乾燥して痩せます。
文字通り、「木が呼吸」しているのです。
そのため、この反りを抑え込まないと、テーブルが
割けたり、変形してしまったりするのです。
幕板は、この反りを周りから抑え込む役割をしています。
今回のテーブルは、幕板がありませんので、その代わ
りに、天板の裏面にアイアンを仕込んで、全体を抑え
こませています。
このアイアンを入れることで、幕板同様に反りを制御
することができ、湿気や乾燥の時期にも、問題が起こ
らないようにしているのです。
幕板がないから、足元と通路ひろびろ
そんな特殊なパーツを採用してまで、なぜ「幕板」を
無くすことにこだわったのでしょうか。
答えは「足元と、通路を広く」するためです。
まずは、足元から見てみましょう。
通常、幕板は 5cm ~ 10cmほどの高さがあります。
その部分がまったく無くなることで、足元の空間は
思った以上に、大きく広がります。
脚を組んだり、椅子の上であぐらを組んだりと、この
空間に余裕があることで、日々の生活は思いのほか
快適になるのです。
非常に細かなポイントですが、毎日過ごす場所をより
快適に、ストレスなく過ごすために、この空間を作り
たかったのです。
高い位置にアームのあるPP68のアームもきれいに収まります。
そして、もうひとつのメリットは、チェアをテーブル
下に収納できることで、生活動線としての通路を広く
取れることです。
例えば、アームチェア。
アームチェアは、ひじ掛けのついた椅子の事で、腕を
置く場所があることで、座り心地はとても快適です。
ただ、アームが飛び出しているため、テーブル下に潜り
込ませことができないことも多く、座っていない時にも
通路を占領してしまいがちです。
大きなダイニングのお家ならば、問題になりませんが、
通常の大きさのダイニングであれば、大抵の場合、と
ても邪魔になります。
その点、幕板がないこのテーブルは、天板下のスペース
が69cmもあります(全高72cm/天板28mmの場合)の
で、多くのアームチェアをテーブル下にしまうことが
できます。
小さめのダイニングの方や、アームチェアの導入をご
検討の方は、ぜひ生活動線についても一考いただき、
幕板のないテーブルの良さを感じていただければと
思います。
【動画】センスのいらないインテリア|ダイニングまわりに必要なスペースを知りましょう。
「自分のおうちにぴったり!」が叶う。
多彩なカスタムオーダーが可能です。
さて、オーク無垢材の王道テーブルでありながら、
幕板を無くす設計により、より快適さを追求した
テーブルであることを紐解いてきました。
ここからは、もうひとつの特徴である「カスタマイズ
オーダー」について、ご説明していきます。
カスタマイズ 1:「幅と、奥行き」
まず、基本的なカスタムポイントの「幅と、奥行き」
のサイズを、希望に応じてオーダーいただけます
幅 : 最小 40cm ~ 最大 200cm
奥行き: 最小 60cm ~ 最大 100cm
というサイズオーダーが可能です。
お家の間取りは、ご家庭によって、千差万別。
ご自宅にぴったりとフィットするサイズをオーダーし
ていくただくことが可能です。
【動画】センスのいらないインテリア|人数に合わせた「ダイニングテーブルの大きさ」を知りましょう。
実際のスタッフ宅用にオーダーした事例も、のちほど
ご紹介します。
カスタマイズ 2:「高さ」
そして、次のカスタムポイントは「高さ」です。
高さ: 最低 30cm ~ 最高 74cm
の範囲で、高さを選ぶことができます。
通常のテーブルの高さは、チェアとの差尺を鑑みると
68cm ~ 72cmが一般的です。
【動画】センスのいらないインテリア|ダイニングテーブルとチェアの適正な差尺を知りましょう。
ただ、身長や好み、使用用途などに応じて、この範囲
でも、68cmを快適に感じられる方もいれば、72cmを
快適に感じる方もいらっしゃいます。
リセノの店舗でご相談を受ける際にも、その割合は、
本当にさまざま。
「そんな細かなこと考えた事なかったわ。」
というお声をいただきながら、店頭で 68cm/72cmを
座り比べていただく光景がよくあります。
ですから、この点もカスタムしていただけるように
いたしました。
また、海外製の名作チェアなどは、海外の人たちの
平均身長に合わせて作られているため、座面高が日本
のチェアよりも高いことも多いのです。
そのため、74cmまで選べるようにしています。
また、ご家庭によっては、リビングにローテーブルを
置いて過ごす方もいらっしゃるでしょう。
そんな方には、脚をもっとカットして、ローテーブル
としてお使いいただく様にオーダーいただくことも
可能です。
また、将来的に用途が変わることもあると思いますので
ローテーブルとして購入いただいて、数年後に脚だけを
高いものを追加購入いただくなども可能です。
カスタマイズ 3:「天板の厚み」
そして、カスタムポイントの3つ目は「天板の厚み」です。
今回のテーブル用に、天板の厚みは
・2.8cmタイプ
・4cmタイプ
をご用意しました。
わずか1.2cmの差ですが、個人的にも天板の厚みには
こだわりがあるところですので、工場と交渉を重ね、
カスタムできるように実現いたしました。
天板厚 2.8cmタイプ
2.8cmタイプは、標準的な厚みで、よりすっきりとした
見た目です。
これでも十分な厚みのため、耐久性や、持続性は十分
に担保していますので、特にこだわりの強く無い方は、
こちらをお選びいただければと思います。
天板厚 4cmタイプ
そして、4cmタイプは、まさにこだわりを具現化した
タイプです。
テーブルの天板としては非常に重厚で、分厚い仕様で
見た目にも、高級感を強く感じさせます。
天板の厚みがあることで、よりオーク材の力強さを感
じることができ、まさにこだわりの逸品です。
個人的には、こちらをお選びいただく際には、ぜひ
「オイル塗装」をお選びいただければ、年月とともに
より重厚感を増し、自分だけの逸品に仕上がることと
思います。
2.8cmと4cmタイプは、デザイン意匠的な違いですので、
お好みに合わせてお選びいただければと思います。
カスタマイズ 4:「仕上げ塗装」
カスタムポイントの4つ目は、仕上げ塗装です。
仕上げ塗装は
・ウレタン塗装(メンテナンスフリータイプ)
・オイル塗装(経年変化タイプ)
の2タイプからお選びいただけます。
ウレタン塗装(メンテナンスフリータイプ)
ウレタン塗装は、メンテナンスフリータイプです。
水や汚れに強く、定期的なメンテナンスの必要もなく、
ストレスフリーでお使いいただけます。
子育て中のご家庭や、忙しい日々を送っている方など
細かなことを気にせずに、快適にお使いいただけます。
また、ウレタン塗装とはいえ、リセノのウレタン塗装
は「導管開き」という塗装で仕上げています。
通常のウレタン塗装は「テカテカ」としたツヤが強く
それが苦手と言う方も多いです。
ですので、リセノのウレタン塗装は、特別な仕上げに
よって、ウレタン塗装でありながらも、ツヤを抑えた
マットな仕上げが特徴。
ウレタン塗装であることを感じさせない、素敵な仕上
げになっています。
オイル塗装(経年変化タイプ)
オイル塗装は、経年変化を楽しむための「育てる」タイプです。
水や汚れに強くなく、半年に1度くらいは、ご自身で
オイルを塗布してもらう必要があります。
オイル塗装は、表面をコーディングせずに、木の中に
オイルを染みこませる塗装なので、木は呼吸を繰り返
しています。
経年変化をもっとも感じることができ、時間とともに、
非常に味わい深い表情に変わっていくのが、オイル仕
上げの最大の特徴です。
革製品や、古着など、時間経過とともに味わいを増す
ようなアイテムが好きな方は、オイル塗装を選んで、
自分だけの逸品に仕上げていく過程をお楽しみいただ
ければと思います。
【動画】センスのいらないインテリア|オイル塗装家具を、メンテナンスしてみましょう。
カスタマイズ 5:「カラー」
最後のカスタムポイントは、カラーです。
カラーは、
・ナチュラル
・ブラウン
の2種類からお選びいただけます。
ナチュラル
ナチュラルカラーは、オークの色味をそのまま活かした
最も人気の高い色味です。
ウレタン塗装ならば、基本そのままの色味。
オイル塗装ならば、経年変化で、すこしずつ色が濃く
変化していきます。
ブラウン
ブラウンカラーは、顔料塗装を施した色味で、独特の
深みを感じられます。
こちらもウレタン塗装は、時間が経っても大きく色が
変わることはありませんが、オイル塗装は、木そのも
のが濃くなることで、色味は多少深めに変化していく
と思います。
カスタムオーダーの実例として。
オフィスや自宅に合わせて作ってみました。
さて、カスタムオーダーの実例として、スタッフ宅に
合わせて、いくつかオーダーテーブルを作ってみました。
中原邸/ダイニング
広いリビングのある中原邸は、
180cm×90cm×72cm
の既成サイズのダイニングをチョイス。
ご近所さんが集まるパーティーでも、活躍しているそうです。
また、普段はキッチンカウンターと横づけにすること
で、美しい導線を確保したダイニングを実現できています。
中原邸/リビング・書斎
中原邸には、もうひとつオーダーサイズを。
42cm×77cm×72cm 2台
階段下のスペースを活かして、リビングで勉強する為
のデスクとして活用。
お友達が来た時にも、ママが見える場所で、並んで勉強
できちゃいます。
また、将来的にお子様が大きくなって、自室で勉強する
ようになった時には、寝室のニッチスペースに入れる
ことで、ちょっとした書斎スペースとしても活用する
想定だそうです。
リセノオフィス/ミーティングルーム
リセノの本社オフィスにあるミーティングルームには、
200cm×100cm×72cm
という最大サイズのテーブルを入れました。
大人数のミーティングであっても、これからは広々と
充実した会議ができそうです。
また、天板厚は4cmタイプに。
サイズが大きいからこそ、重厚な天板がより高級感を
感じさせる意匠に仕上がっています。
また、もうひとつあるミーティングルームは、さきほ
どの部屋よりも小さいため、
180cm×90cm×72cm
の既成サイズにしました。
-----
いずれのテーブルも「オイル仕上げ」にしたので、今後
スタッフの研修を兼ねて、半年に1度のペースでメンテ
ナンスをしながら、大切に育てていこうと思います。
山本邸/ダイニング
僕の自宅には
180cm×90cm×72cm
を置いてみました。
名作家具と合わせても、素材/カラーともにフィット
感が素晴らしく、長く飽きずに使っていけそうです。
山本(実家)/リビング
僕の実家のリビング用テーブルが、10年ほど使って、
突板が剝げてきていたり、伸張部分が壊れてしまって
いたりと、かなりボロくなってきていたため、ちょうど
良い機会とばかりに、新調しました。
サイズは、
120cm×65cm×35cm
というローテーブル仕様で、床の生活に慣れている母も
「これは高級感あって、前のと全然違うね。」
と満足そうです。
実家は、京都らしく「うなぎの寝床」と言われる縦長
の土地で、リビングも細長いので、奥行きを小さくカ
スタマイズすることで、座っていても窮屈さが少ない
ようにしています。
塗装は、もちろんメンテナンスフリーのウレタン塗装。
常にテーブルを濡れふきんでガシガシと拭きまくる
きれい好きな母ですので、ウレタン塗装が最適です。
辻口邸/ワークスペース
おしゃれなデザイナーズ賃貸マンションに住んでいる
カメラマン・辻口邸には
120cm×60cm×72cm
というワークスペース用のオーダーサイズを。
さほど広くないはないスペースに、ラウンジチェアと
デスクを置いている為、既成サイズではなかなかフィ
ットするものがないのですが、オーダーサイズだと、
もちろんジャストフィット。
カラーもブラウンを選んで、しまりのある空間に
仕上がっています。
また、奥行きの浅いサイズ感なので、デスクとしての
利用以外にも、小さなカフェスペースとして、パート
ナーとのちょっとしたカフェタイムにも良さそうです。
辻口邸/和室
辻口邸には、リビング横に小さな和室があるので、
そこにローテーブルを入れて撮影してもらいました。
100cm×60cm×35cm
畳みでゆったりとお茶をしたり、読書したりと、
ちゃぶ台のような良いサイズ感でオーダーされています。
カラーは、こちらもブラウンに。
昭和の茶の間には、たいていブラウン色のテーブルが
鎮座していましたね。
ブラウンカラーは、和室と相性がよく、落ち着きを感じ
させてくれています。
細かなこだわりは、不要な方に。
お得な「即納モデル」もご用意しました。
さて、このようにお部屋や用途に合わせて、カスタム
オーダーが出来る本製品ですが、すぐに欲しいという
方向けに、国内にて在庫をしている「即納モデル」も
ご用意しました。
こちらは数十台ほどを工場へオーダーし、まとめて製作
していますので、オーダー品よりも割安で、お得に
お求めいただけます。
<選べる項目>
・サイズは、幅150cm/180cmの2タイプから選択
・仕上げは、オイルとウレタンの2タイプから選択
<選べない項目>
・高さは、72cmのみ
・カラーは、ナチュラルのみ
・天板は、2.8cmタイプのみ
という構成で、つまりは4種類からお選びいただく
ことになります。
150cm×80cm
2人+2人で対面で座れる最も一般的なサイズです。
お誕生日席を入れると、6人まで座ることができます。
塗装をオイル/ウレタンからお選びください。
ウレタン仕上げ
オイル仕上げ
180cm×90cm
3人+3人で対面で座れる大きめサイズです。
お誕生日席を入れると、8人まで座ることができます。
塗装をオイル/ウレタンからお選びください。
ウレタン仕上げ
オイル仕上げ
即納モデルは、カスタムオーダーよりも約2万円ほど
お得です。
また、納期もカスタムオーダーは 1~3ヵ月ほど製作
にいただきますが、即納モデルは数日程度でお届けが
可能です。
お好みに合わせて、お選びいただければと思います。
こだわりを詰め込んだ「OAK TABLE」
2023年10月13日(金)より発売します。
というわけで、新作のテーブルについて、企画経緯と
コンセプト設計を書いてきました。
このテーブルは、足掛け3年ほどを費やして開発して
きた、かなりの力作です。
特殊な機構を工場で加工するのが難しく、当初は断ら
れていたのを、リセノ開発担当者の熱意によって、ど
うにか実現までこぎつけました。
また、通常、オーダーテーブルは、管理しやすい様に
国内で生産するのが普通です。
ただ、そうするとどうしても価格が高くなってしまいます。
今回リセノでは、他のオリジナル製品も依頼している
海外工場に依頼し、互いの信頼を基にカスタムオーダ
ーを実現しています。
1点オーダーも受け付けながら、価格は下げるという
実は、非常にハードルが高い開発でもあります。
リセノの新しいチャレンジになりますが、高い品質の
製品を、適正な価格で提供できるように、各所の協力
を得ながら進んでいきます。
どうか多くのお客様にとって、インテリアの楽しさを
感じるきっかけになればいいなと思います。
東京・京都・福岡店では、すでに展示していますので、
ぜひとも店舗にてご体感いただき、ダイニング選びに
加えていただければ嬉しいなと思います。
Re:CENO product|ダイニングテーブル OAK