ナポレオンシェルフ「H/A WALL SHELF」の企画経緯と
コンセプト設計についてお話します。
こんにちは。ヤマモトです。
オリジナル家具シリーズ「Re:CENO product」から
アンティーク意匠を復刻した「ウォールシェルフ」を
新たにリリースします。
このシェルフは、アノニマス(作者不詳)なフランスの
アンティーク家具を復刻したもので、19世紀ナポレオン
三世時代に多く作られた事から「ナポレオンシェルフ」
と呼ばれ、愛されているシェルフを独自に復刻しました。
本日のマガジンでは、この新作ウォールシェルフの企
画経緯とコンセプト設計について、丁寧に紐解いてい
きます。
アノニマス(匿名)な意匠を持つ
「ナポレオンシェルフ」を復刻しました。
この新作シェルフは、独特の繊細な彫りが入った支柱
が特徴で、その優美な意匠デザインは、一般的なシン
プルなウォールシェルフとは異なる趣きを感じさせて
くれます。
支柱のデザインは優美でとても美しく、シンプルな壁
に掛けるだけで、お部屋に複雑性と趣きをプラスでき
るので、とても良いアクセントアイテムになります。
前述のとおり、この美しい意匠デザインは、新たに
デザインを起こしたものではありません、
19世紀のナポレオン三世時代に多く作られたことから
名付けられた「ナポレオンシェルフ」と呼ばれるアン
ティーク家具をイメージソースにした復刻デザインです。
ナポレオンシェルフは「これ」というような決まった
デザインがあるわけではなく、特徴的な支柱を組み合
わせた意匠性を持つシェルフの総称です。
この新作シェルフも、アノニマスデザインと呼ばれる
「誰がデザインしたかが、はっきりとしないデザイン」
のアンティークから発想しています。
北欧の家具のような「広く多くのファン」を持つもの
ではありませんが、特徴的で美しい装飾デザインは、
アンティーク好きな人から熱く支持されており、その
美しさは、リセノの目指すナチュラルヴィンテージの
世界観ととても親和性が高いと感じています。
今年行ったパリの蚤の市の様子
ちなみに今年行ったパリの蚤の市でも、アノニマスな
ナポレオンシェルフが出品されていました。
今回のウォールシェルフよりも支柱が多く、より装飾
性が強いですね。
良いものを掘り起こし、現代の暮らしに受け継ぐ。
「H/Aシリーズ」をスタートしていきます。
19世紀のフランスで盛んに作られたアンティークのナ
ポレオンシェルフですが、デンマークの家具などと比
べると、一般的な知名度は高くありません。
有名でない背景にはそもそも製造数が少なく、その為
に市場に出回る製品は高価なものが多く、なかなか手
に入らないという問題もあります。
リセノでは、有名デザイナーが作った「名作」でなく
とも、美しい見心地や、使い心地をもった家具は長く
その良さを引き継いでいきたいと考えています。
そのためには、手に入れられる価格帯を実現する事と、
そもそも手に入れられる数を製造することが重要です。
そうしないと、良い意匠のアンティーク家具であっても
一般の方のお家には行き届かず、一部のマニアだけが
楽しめるものになってしまいます。
日本の生活で愛され続けてきた民藝品
「作者不詳の名もなき品=アノニマスデザイン」という
のは、日本の「民藝(みんげい)」の発想に近いと思い
ます。
日本でも、昔から一般庶民の中で使われ続けてきた
名品がとても多くあります。
それらは「民藝(みんげい)」という総称で呼ばれて
おり、誰がデザインしたかははっきりしないが、造形
が美しく、暮らしにフィットしていて、長く人々に愛
されているものを指します。
リセノにはアンティークから着想を得ている品も多い
名作でなくても、美しいものは古来よりたくさんあります。
それを一般の家庭でも採用する事で、手に入る価格で
「美しい見心地」をインテリアに加える事ができます。
ですから、海外の「民藝」とも言うべき、アノニマス
デザインを見つけ、良いものは消えることなく現代に
受け継いでいきたいと思っています。
以前からそのような取り組みをしたいと思っていました
が、今回の製品を起点にいよいよ本格的にスタートして
いこうと思います。
この活動により生み出す製品を総称して、僕たちは
「H/A(エイチエー)」と名付けました。
名前の由来は、
- Hommage to anonymous:匿名意匠への敬意・尊敬
- Hommage to antiques:アンティークへの敬意・尊敬
です。
古いもの・匿名でも美しいものを現代に蘇らせて、
現代の暮らしに行きわたらせ、暮らしを豊かにする。
これらの想いをもって復刻するプロダクトを「H/A」
シリーズとして、今後たくさんのアイテムを復刻でき
るといいなと考えています。
復刻初回の造形。かなり太くやぼったい...
お部屋に趣き、複雑性、ぬくもりを与えてくれる
吊り下げる「ディスプレイ棚」です。
さて、そんなアノニマスデザインから復刻を行った
「ナポレオンシェルフ」。
その良さは、何よりもお部屋のアクセントになり得る
趣き、複雑性、ぬくもりといった、お部屋への彩りを
与えてくれることです。
フランスのインテリアデザインは、デンマークのインテ
リアデザインと比べて、装飾性が高いものが多いですね。
街並みや建物のデザインなんかもまさにその通りなの
で、国民性が出ていて面白いです。
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リセノでは
「シンプルでナチュラルな内装をベースに、
トーンを抑えた統一感のある家具を配し、
ヴィンテージ感のあるアクセントアイテムをミックスすることで、
落ち着いた印象を与えるインテリアスタイリング」
を「ナチュラルヴィンテージ」として、提唱しています。
「ナチュラルヴィンテージ」スタイリングのメリットと、実践ポイントを紐解きます。
オウンドメディアや書籍を通して伝えている「インテ
リア成功の公式」として、
家具は普遍的で飽きづらいものを選び、小物でお部屋にアクセントを加える。
というものがあります。
家具は存在感が大きく、また長く使い続けるものです
から、デザインの個性が前面に出ているものを選んで
しまうと、購入したときは良くても、年齢を重ねてい
く中で好みが変わってしまったり、パートナーと暮ら
すときに趣味が合わなかったりする可能性があります。
ですから、存在感の大きな家具は、普遍的で飽きづらい
「シンプルなデザイン」のものを選ぶべきという理論
です。
普遍的でシンプルな家具を配置したところ
ただ、大きな家具やインテリアがシンプルであること
で、お部屋がつまらないものになってしまっては、楽
しく暮らすことはできません。
ですから、シンプルなお部屋に「アクセントアイテム」
と僕たちが呼んでいるデザイン性が高いもの、複雑な
形状のもの、ヴィンテージなどの味わいの深いもの、
自然素材などを取り入れることで、お部屋に彩りを
加えるのが大切です。
これが、僕たちが提唱するナチュラルヴィンテージ
スタイリングの基本の考え方です。
アクセントアイテムでお部屋に彩りをプラス
アクセントアイテムは、雑貨などの小物が中心なので
時間軸とともに好みのものに入れ替えることができます。
アクセントアイテムでお部屋作りを遊べるのです。
そして、今回のナポレオンシェルフは、まさにアクセ
ントアイテムとしての立ち位置で、整った印象のシン
プルなお部屋に加えることで、
- デザインの「複雑性」
- ヴィンテージを感じさせる「趣き」
- 手仕事の「ぬくもり」
というアクセントを加えるのに最適です。
大きく、寂しく、ぽっかりと空いてしまいがちな場所
に、このディスプレイ棚を加えることで、その場所が
「お部屋のアクセント」になるのです。
お部屋のどこに飾ると、最適?
いくつかの事例を見ていきましょう。
このディスプレイ棚を実際に使うと、どのようにお部屋
に彩りが加わるでしょう。
実際にお部屋に配したところを見ていきましょう。
サイドボード上のアート代わりに。
もっとも入れていただきたい場所は、サイドボードなど
アートを飾る場所です。
リビングやダイニングの壁部分は、ドアから入ってきた
時や、普段の生活でもよく目に入る場所です。
この場所は「フォーカルポイント」と呼ばれ、インテ
リアにおいての一等地です。
リセノ式センスのいらないインテリア|コーディネートの基本「フォーカルポイント」を学びましょう。
フォーカルポイントを美しく飾ることを意識すること
で、インテリアのクオリティはもっとも高まりやすい
ため、ぜひこの場所に配していただきたいなと思います。
ソファー横や背面の空いた空間に。
もうひとつのおすすめ場所は、ソファー横や背面の壁です。
ソファー横や、ソファー後ろなどは、壁がぽっかりと
白い空間として、空いてしまいがちです。
その場所に配置してもらうことで、ソファーまわりを
華やかな印象にすることができます。
デスクやテーブルの周りに。
寝室のドレッサーやデスク横などの空間を華やかにする
のにも最適です。
ベッドやデスクなどは、それほど装飾性のない場所です
ので、そこに1つ配置するだけで、とても華やかな印象
に替えることができます。
ダイニングテーブルの横に掛けるのも、おすすめです。
素敵なインテリアコーディネートを実現するためには、
「壁のぽっかりと寂しい印象をどう失くすか」は、常
に課題になります。
その点、このウォールシェルフであれば、シンプルで
ありながらも、支柱の装飾性が白い壁に際立って、存
在感を足すことができます。
階段や、玄関に。
そのほか、おうちの中には「ぽっかり寂しい壁」は
たくさんありますね。
階段なんかもそのひとつ。
無機質な移動するための空間である階段ですが、そこも
飾ることを楽しめる場所のひとつ。
壁を飾るアイテムとして、良い存在感を出してくれます。
また、玄関なども、入口のドアから入って視線が集まる
フォーカルポイントのひとつ。
このウォールシェルフは、支柱をくるくると回すだけ
の簡単組み立ての構造ですから、中の支柱をひとつ取
り外せば「二段仕様」にもできます。
玄関などの小さな場所を、素敵にコーディネートしたい
時にも、活躍してくれます。
ナポレオンシェルフを上手に飾る「4つのセオリー」も
分かりやすくひも解いていきます。
さて、お部屋のフォーカルポイントや、空いている壁
にナポレオンシェルフを配することで、複雑性や趣き
をプラスできて、お部屋が美しくなることがお分かり
いただけましたでしょうか。
この章では、
「素敵だけど、飾るのが難しそう。」
「ディスプレイが苦手だから、失敗しそう。」
という方のために、リセノが実践と研究を繰り返しな
がら、独自に生み出した「誰でもディスプレイが上手
にできるセオリー」を丁寧にひも解いていきます。
セオリー1:素材や形を「レピテーション」する。
ひとつめのセオリーは、飾るアイテムの素材や形など
をひとつずつ取り入れるのではなくて、何度も繰り返
し取り入れることです。
このテクニックを「レピテーション」と言います。
例えば、何気なく飾っているように見えるこのディス
プレイですが、構成要素を紐解くと、
- 緑色の◯ = 色合いの近しい「動物」のオブジェ
- 朱色の◯ = 縦に長い「形」の入れ物
という風に、共通点のあるアイテムをレピテーション
(繰り返し)しています。
動物と、動物
縦に長い形状
動物同士や、細長い形、色、など、飾るアイテムを1つ
で孤立させずに、2つ以上揃えることで、バラバラと
散らかった印象を取り除き、全体にどこか統一感を感
じさせるディスプレイにすることができます。
専門用語で「素材を拾う」「形を拾う」「色を拾う」
などとも表現します。
「センスで、感覚的に」ディスプレイされている様で
も、実は、共通点のあるアイテムを使うことで、全体
にまとまった印象を持たせることができるのです。
リセノ式センスのいらないインテリア|「レピテーション(繰り返し)」を学びましょう。
セオリー2:空間を分割して、対称に配置する
ふたつめのセオリーは「空間分割」です。
素材をレピテーションする時には、横に並べたり、
縦に並べたりすると、整然として、まとまった印象に
なりすぎてしまいます。
ですから、今回のように小さなディスプレイスペース
であれば、空間を4つに分割して、その対象となる側に
ジグザクを意識して置く様にします。
△ 対称ではなく、上下で並べたイメージ
例えば、レピテーションしたアイテムを上段/下段で
縦に配置すると、まとまりすぎて、面白みが減ったり
整いすぎる印象を感じやすくなります。
◎ 対象に並べたイメージ
このようにレピテーションしたアイテムを対象の空間
にジグザクになるように配置することで、整然とした
印象をすこし崩すことが出来て、ディスプレイとして
の面白さを表現しやすくなります。
これは専門用語で「シンメトリー(左右対称」」に対
して、「アシンメトリー(左右非対称)」という効果
を応用したテクニックでもあります。
セオリー3:三角形にディスプレイする
3つ目のセオリーは、三角形になるようにアイテムを
配置することです。
置くアイテムを「大・中・小」とおおよそ3つの高さを
意識して、揃えましょう。
そして、その3つを上の画像のように「三角形」になる
ように並べることで、立体感を感じさせるディスプレイ
にすることができます。
また、小さな三角形を、お互いにを重ね合わせる様に
配置して「大きな三角形」を作ることで、さらにディ
スプレイのクオリティが上がります。
これだけで、立体的なディスプレイを誰でも作ること
ができます。
リセノ式センスのいらないインテリア|ディスプレイの基本「三角形飾り」を学びましょう。
セオリー4:「趣き」のあるものを差し込む
最後のセオリーは、「趣きのあるもの」を飾るアイテ
ムに取り入れることです。
例えば、
- ヴィンテージのオブジェ
- ドライフラワー
- ラタンやレザーなどの自然素材
などの1点だけでも見ごたえのあるアイテムです。
アイテム単体で趣きのあるものを取り入れることで、
それらが重なり合いながら、深みを演出してくれます。
ディスプレイと聞くと、初心者の方は「何を」「どう」
飾っていいのか分からず、ためらってしまいがちです。
でも、上記で紹介したような「セオリー」を頭に入れて
飾るモノを選んだり、飾り方を工夫するだけで、誰でも
ディスプレイは簡単に成功させることができます。
ナポレオンシェルフは、シェルフ自体に歴史を感じさ
せる「趣き」があるので、中に置くものも映えやすく、
また、空間自体も小さいので、難易度は低めです。
ぜひ、お部屋の壁を飾る第一歩として、チャレンジして
もらえればうれしいなと思います。
素材は、贅沢に「ホワイトオーク」を使用。
選べるカラーは、3色です。
さて、最後にスペックについてご紹介しておきましょう。
素材は、リセノではおなじみの質の良いホワイトオーク
を贅沢に使い、丈夫で、長く使えます。
使っていくごとに良い経年変化も見せると思いますので
子供や孫にまで引き継げるような品質に仕上がっています。
長くご愛用いただければと思います。
そして、選べるカラーは、3種類。
お手持ちの家具や、好みに合わせてお選びいただけれ
ばと思います。
ナチュラル
ナチュラルは、オーク材の色味を活かした爽やかな
仕上がりです。
ナチュラルカラーの家具をお持ちの方には、ぜひとも
おすすめしたいカラーです。
ブラウン
ブラウンカラーは、古道具のような趣きを感じさせる
こっくりと素敵な印象です。
ブラウン家具との相性抜群です。
ヴィンテージレッド
アンティーク家具でよく見かける赤味を帯びたブラウン
カラーを再現した「ヴィンテージレッド」。
リセノでは、ヴィンテージレッド色を家具でも多く展開
していますし、古い北欧家具がお好きな方にも、この
ヴィンテージレッド色は、もっともきれいにフィット
すると思います。
3色ともにそれぞれどれも素敵なので、お好みに合わせ
てお選びいただければと思います。
こだわりを詰め込んだ「H/A WALL SHELF」
2023年12月25日(月)より発売します。
というわけで、新作のディスプレイ棚について、企画
経緯とコンセプト設計を書いてきました。
アンティーク家具を好きな方でないと、なかなかに
出会うことのない「ナポレオンシェルフ」。
美しい意匠デザインが、お部屋の「なにか物足りない」
を埋めてくれて、ぽっかりと寂しくなりがちな壁が、
素敵なフォーカルポイントになります。
アートなどと同じ場所で活躍してくれるアイテムです
ので、お部屋作りをさらに楽しみたい方は、ぜひ候補
のひとつに入れていただけると嬉しいなと思います。
東京・京都・福岡店では、すでに展示していますので、
ぜひとも店舗にてご覧いただき、店頭スタッフに飾り
方などもご質問・ご相談いただければと思います。
Re:CENO product|H/A WALL SHELF