家具の品質管理ってどんな仕事?WICKERチェアの検品現場をレポートします。
こんにちは、品質管理チームのえんどうです。
今回のマガジンは、僕たち品質管理チームが
普段、どんな活動をしているかをご紹介します。
みなさまに安心・安全の品質をお届けできるよう
僕たち品質管理チームが今、最も注力しているのが「国内検品」です。
どのように国内検品を実施しているか、
なぜ国内検品に注力するのか、をご紹介して
リセノの家具の生産背景を知ってもらえれば、嬉しいです。
今日は僕たちのオリジナル家具「WICKERチェア」の
国内検品を例に、品質管理の活動をご紹介します。
社内の仕事を公開していく試み
コロナの影響で海外検品が難しい状況に。
品質管理は、国内検品に注力しています。
家具の品質管理は、海外工場から出荷するタイミングで
行う「海外検品」と、国内の倉庫に入庫した
タイミングで行う「国内検品」の2段構えで、品質チェックをしています。
海外検品で不良を弾いて、国内でダブルチェックする
というのが、品質管理の定石です。
ただコロナが世界に蔓延して、海外に渡航できない今
以前のように、自ら海外工場を訪問し、海外検品を
品質管理チームで行うことが難しくなりました...
海外の工場に自ら訪問できない状況では、
海外の品質チェックは、検品会社や工場に検品報告をもらって、外部に委託。
国内に入荷した時に、僕たち品質管理チームが、
倉庫で細やかな品質チェックをしています。
このようにコロナ禍になって、自分たちの目で
チェックできる環境が国内に限定され、国内検品で
品質をチェックすることが、より重要になっています。
ちなみに海外のモノづくりは、例えばベトナムでは、
ロックダウンで工場が数ヶ月間封鎖されたり、
インドネシアでは工員さんの出勤が1/3の人数に
制限されたり、通常の納期で生産することが難しい状況になりました...
工場もなんとか希望納期に間に合わせるよう
生産を急いでくれていますが、急ぐとどうしても
製造のミスやチェック漏れが発生するリスクが高くなります。
海外工場で自ら検品することが難しく、
納期を守るために生産を急ぐこの状況で、
品質管理の最後の砦になる国内検品が、今とても重要だと感じています。
WICKERチェアの国内検品は、1日に100台を。
検品精度をあげる工夫とは?
品質を保つために重要になっている国内検品を、
どのように実施しているかを、先日実施した WICKERチェアの国内検品を例にご紹介します。
WICKERチェアの場合、一度に入荷する数量はざっと100点。
この100点を午前10時~17時の実働6時間かけて、
1点づつ丁寧に検品していきます。
暗くなると色や傷の有無が見えにくくなるので、
明るい時間帯・環境で検品することがポイントです。
ラタンにほつれががないかを検品したり...
木部に傷、凹みがないかを検品します。
ちなみに今回の検品は、品質管理チーム3名と
他チームから2名ヘルプに入ってもらい、合計5名で検品を実施。
検品の手順は、こんな流れで進めていきます。
- 商品を開梱
- 品質基準書に従って検品
- 品質基準を満たすものは良品として再梱包
- 品質に問題があるものは、画像を取って工場に報告
- 後日、問題点をまとめて工場に改善を依頼
品質基準書はGoogleスプレッドシートにまとめて、いつでも見れるように。
リセノプロダクトは、「品質基準書」という
品質の軸を作っており、その基準をもとに良品・不良品と判断をしています。
この品質基準書を工場と共有しておくことで、
生産時に気をつけるポイント、検品時に注意する
ポイントが明確になり、品質を向上することに繋がります。
木材は生き物であることを再認識
天然素材を扱うことが、家具の品質管理の難しさ
水平台でがたつきをチェックする様子
いざ品質基準書に沿って検品していると、
何点かのチェアに「がたつき」があることが発覚しました。
水平なガラス台の上でがたつきの原因を追究すると、
左右の脚の高さに数mmの誤差があることが判明...
品質管理チームで、数mmの誤差の原因を議論すると...
① 海外工場で生産のミスが生じている。
② 海外から納品するまでに、木材が伸縮して誤差が生じている。
の2つの可能性が濃厚。
①の生産ミスの対策は、まずは工場に生産工程に
問題がないかを確認すること。
どのようにチェアの脚を加工しているか、画像や動画で報告をもらいます。
生産工程に問題なければ、検品報告書に
「がたつきがないか?」の検品項目を追加して、
出荷時に品質基準書が守られていることを、工場に報告してもらいます。
② は工場出荷時に誤差は生じていないけど、
国内倉庫に納品されるまでに、木材が伸縮している可能性があります。
木材は湿度・気温の変化により、木材の全長の1%ほど伸縮する場合があります。
例えば40cmの長さの木材の場合は、4mmほど変化が生じます。
この伸縮による誤差が原因の場合、
対策はまず木材の伸縮が起きにくくなるよう、しっかり乾燥させた木材を使うこと。
含水率といわれる、木材に含まれる水分の比率を
計測して、木材がしっかり乾いているかを管理します。
そしてもし国内入荷時に誤差が発生した場合は、
脚の長さを修繕して、がたつきの原因を改善します。
原因が1つに絞れない時は、このように
考えられる可能性それぞれに、具体的な改善案を
すぐ実行し、再発を防止しています。
家具を検品していると、海外出荷時は問題ないけれど
国内に入荷するまでに、木材が伸縮して
今回のようにがたつきが発生したり、テーブルの天板が割れることがあります。
木材のように環境によって変化する天然素材を
扱うことが、家具の品質管理の難しいところで、腕の見せどころでもあります。
今回のWICKERの国内検品を通して、
天然素材を使用する商品は、特に国内検品が必要だなと再認識しました。
安心・安全の品質をお届けできるよう、
国内検品を継続していきます。
WICKERチェアの国内検品、いかがでしたでしょうか?
結局、この日は1日で予定数通りの検品ができ、
ほとんどの商品は品質に問題ないことが確認できました。
まずは基準を満たしているチェアを、用意できたことに一安心です。
ただ、一部の商品に予期せぬがたつきが発覚して、
やはり国内で自分たちの目で検品する重要性を、改めて理解できました。
品質管理チームでは、今後も「国内検品」に注力して、
現物を自分たちの目で見て、お客様に安心・安全の
商品をお届けできるように取り組んでいきます。