シートクッション「folk Seat cushion」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。
こんにちは。ヤマモトです。
新プロダクトとして、オリジナルのチェアにフィット
する「シートクッション」をリリースいたします。
Re:CENO productのチェアに合わせて、専用に設計した
シートクッションで、ペーパーコードやラタンの座面に
敷くことで、ふっくらと柔らかな座り心地を感じること
ができます。
また、カバーリング仕様なので、いつも清潔にお使いい
ただくことができ、デザイン面においてもレザーをはじ
めとした上質な要素が加わることで、より見心地もアッ
プデートすることができます。
本日のマガジンでは、この新作シートクッションについ
て、企画の経緯とコンセプト設計を紐解いていきます。
ペーパーコードチェアの座り心地を
さらに快適にする「シートクッション」
リセノのオリジナル家具「Re:CENO product」のチェア
でおなじみのペーパーコードチェアたち。
リセノのオリジナルチェアの多くは、座面を「ペーパー
コード仕様」で製作しています。
北欧デザインのチェアでも多く採用される「ペーパーコ
ード」は、第一次世界大戦中に生産される様になり、
当初は麦などを束ねる紐として利用されていました。
椅子の座面に使われはじめたのは、1940年代頃からだ
そうで、従来の植物の茎や、葉を原料として作られた
ものよりも品質が均一なことから、椅子にも用いられ
る様になったそうです。
それから、約80年。今日に至るまでペーパーコードを
使ったチェアは生産され続け、また、とても人気の
ある椅子として、長く愛され続けています。
ペーパーコードは見た目にも美しく、また、経年劣化
によるへたりも少なく、絶妙にしなやかな座り心地を
長く楽しむことができます。
北欧チェアに多く使われているため、見た目の素晴ら
しさに話を取られがちですが、実は、座り心地や耐久
性においても、素晴らしいチェアです。
僕自身も自宅で「folkラウンドアーム」や、北欧の名作
チェアを使っているので、その良さは熟知しており、
だからこそ、ペーパーコードのチェアを多く企画設計
してきました。
そんな良いところの多いペーパーコードチェアですが、
見た目や、使い心地に対する先入観などにより敬遠され
る方が、一定数いらっしゃいます。
これはとても残念なことです。
今回のシートクッションは、そんななんとなく敬遠して
いるという方に向けて、いろんな角度から解決策を与え
てくれます。
お尻の柔らかさを、長く持続させるために。
布製チェアーではなく、シートクッションを。
多くのファンを持つペーパーコードチェアですが、
一部のお客様からは
「見た目は素敵だけど、もっと柔らかいのが好み」
「子供が小さいので、食べこぼしが入り込みそう」
「メンテナンスが大変なのでは?」
といったお声を、ちらほらいただきます。
お尻当たりを柔らかくといったご要望は特に多く、
「座面にウレタンを入れて、布を張ったチェア」が
良いという方が多い印象です。
ただ、お店で柔らかな座り心地を気に入って、このいわ
ゆる「布製チェア」を購入された方が、長くご使用にな
る中で、後々に気付かれることが、いくつかあります。
それは、
- ウレタンが次第にへたってきて、座り心地が悪くなってきた。
- 布が本体に留めてあるものは、洗えないので汚れが気になる。
- カバーリング式のものは、デザイン性に劣る(オムツの様な見た目)
といった点です。
布製チェアは、使い始めは特に柔らかさもあり良いの
ですが、使っていくうちに、どんどんと劣化していく
のが宿命です。
中に入っているウレタンがへたっていくにつれて、
土台に入っている木部分を強く感じるようになるのです。
また、カバーが本体に張りこまれているものは、布の
クリーニングができないので、衛生面もすこし心配が
あります。
カバーリングで、布部分を取り外せる仕様の物もあるの
ですが、マジックテープで付ける仕様のものが多く、
どうしても「ぼってり」とした見た目になりがちです。
これらの弱点により、布製チェアを買ったけれど、
数年で買い替えたという方も、多くいらっしゃいます。
ペーパーコードチェアは、長く気持ちの良い座り心地が
持続し、使い込むほどに味わいも増し、また、デザイン
性も高いことから、一生物のチェアです。
ですから、布製チェアとペーパーコードチェアでは、
ライフサイクルに大きな違いが出てくるのです。
ただ、お尻当たりは好みの問題ですので、柔らかな座り
心地のご要望があるのは、もっともです。
ですから、それぞれの良いところを引き出すために、
開発したのが、この「シートクッション」なのです。
シートクッションをペーパーコードの上に載せること
で、お尻当たりは抜群に柔らかくなります。
中にはウレタンが入っていますので、まさに布製チェア
と同じか、それ以上の柔らかさです。
また、汚れてもクリーニングができますので、いつも
清潔に使うことができます。
また、カバーリングのチェアのように「ぼってり」と
したフォルムになることもなく、非常にすっきりとした
見た目です。
まさにペーパーコードに尻込みする方や、布製チェア
の座り心地が好きな方にとっても、ベストな選択のチェ
アになると思います。
「Re:CENO product」のチェアのすべてにフィット。
幅広座面の掛け心地が、さらに向上します。
さて、そんなペーパーコードと相性の良いシートクッ
ションですが、Re:CENO productでリリースしている
ラタン製のチェアも含めた、すべてのチェアにフィット
します。
Re:CENO productのチェアは、すべて同じ設計の座面
にしており、一般的なチェアーよりもすこし「幅広型」
で作っています。
これは、座り心地をもっとも重要視しているからです。
一般的に、座面を小さく設計して、全体を縦長のフォル
ムにする方が、チェアは美しく見えます。
これは人間のモデル体型と同じで、縦長であるほどに
スラっと美しく見えるのです。
ただ、リセノプロダクトのチェアはそこをあえて、
横幅と奥行きを通常よりも広く、しっかりと持たせた
「ぽっちゃり安定型」にしています。
その方が座り心地がよく、お尻全体を包み込むような
サイズによって、長く座っていても疲れづらいように
しているからです。
ただ、それでも美しく見えるのは、全体の比率を細やか
に設計しており、美しさも感じさせるフォルムを両立さ
せているからです。
このシートクッションを入れることで、オークの美しい
木目と引き立て合い、美しく、洗練された印象を感じる
ことができます。
見た目も上質で「汚れ防止」にも。
小さなお子様用にも最適です。
小さなお子様がいらっしゃるご家庭では、食べこぼしが
ペーパーコードの隙間に入ることが気になるから、布製
や板座(木だけの座面)のチェアを選ばれる方もいらっ
しゃるでしょう。
前述のとおり、そのお声も承知しています。
シートクッションを敷くことで、物理的にペーパーコー
ド部分は隠れますので、小さな食べこぼしが入り込む
ことはありません。
ファブリックタイプであれば部分洗いもできますし、
レザータイプでも、拭き取ることができます。
また、レザーには使用前にクリーナーを塗布、ファブリ
ックにはケアスプレーをしておくことで、汚れをはじい
てくれるので、クリーニングの手間もなく、快適にお使
いいただけます。
生地は、新採用の「セミアニリンレザー」と、
定番の4つのファブリックからお選びいただけます。
シートクッションの生地は、レザータイプと、ファブリ
ックタイプからお選びいただけます。
ご紹介していきましょう。
しっとりとした手触りと見た目で、
傷にも強い「セミアニリンレザー」
今回のシートクッションと、folkソファー用カバーとし
て、リセノで新たに採用したのが「セミアニリン仕上げ
のレザー」です。
広い牧草地での放牧により、ストレスの少ない環境で
生育された牛革を使用。厚さ1.4~1.6mmの本革なので
耐久性も高く、使うほどに馴染んだ良い風合いに変わっ
ていきます。
セミアニリン仕上げは、革本来の風合いを損なわず、
それでいながら傷や汚れ、ダニが付きづらく、アレル
ギーが心配なご家庭でも、安心してお使いいただける
機能性を合わせもっています。
高級車のシートなどにも多く使われることからも、
その高級感や、耐久性の高さが実証されています。
また、手触りはとてもしなやかで、マットな質感も大きな特徴。
見た目も高級感を感じさせるので、お部屋の中で大きな
存在感を感じるソファーに張ることで、インテリア全体の
「見心地」も格段に上げてくれます。
また、「革のチェアは、座った時に冷たそう」という
お声をよく聴きますが、実はその逆。
本革のシートは、体温に合わせて温かくなりますので
「使い心地」の面でも、実は、暮らしに寄り添ってく
れます。
使い込むほどに、味わい深く。
さらりと柔らかな質感の「リネン生地」
ファブリックタイプは、リセノでおなじみの4種類から
お選びいただけます。
1つ目の生地は「リネン(麻)100%」のファブリック。
厳しく選別された良質な麻を丁寧に紡いだ生地は、強度
があり、とてもしなやか。
太番手のざっくりしたリネンらしい生地でありながら、
独特のタンブラー仕上げで、触り心地の良い素材に仕上
げられています。
リネン本来の自然な色合いは、空間を上品でナチュラル
な印象に。
通年使える生地ですが、リネンは調湿機能に優れている
ので、とくに湿気が気になる季節や夏場は涼しく快適に
お使いいただけます。
北欧デザインにフィットさせるために独自開発した
自信作「グレーストライプ生地」
センスの良い北欧ヴィンテージ家具屋さんで、ときどき
見かける「グレーストライプ生地」のチェアー。
北欧デザインのソファーが、さらに上質に見える北欧
家具好きにとって、憧れの組み合わせです。
北欧ヴィンーテージ家具のリペア時の生地張り直しに
使用されるグレーストライプ生地は、実はデンマーク
産のものが使われていることが多く、通常の生地の10
倍くらいするとても高価な生地だったりします。
リセノでは、この生地をレコメンドしたく、海外工場と
協力して、自社オリジナルとして開発することに成功
しました。
ウール85%・ポリエステル15%の肌触りの良い生地で
上質な見心地と、柔らかな風合いの使い心地を兼ね備
えた自信作の生地です。
柔らかさ求めたコットン100%。
あたたかみを感じられる「コーデュロイ生地」
2つ目の生地は、手に触れた時の柔らかをを求めたコッ
トン100%の綿糸をゆっくりと丁寧に織り上げた「コー
デュロイ生地」。
オリジナルで生産するコーデュロイ生地でこだわった
のは、太い畝(うね)幅。
幅1cmの太めの畝を使用しており、少し離れた場所から
見ても、ざっくりとした温かみを感じるデザインになっ
ています。
カラーは、オリーブとキャメルの2色ご用意しました。
こちらは、深みのあるオリーブカラー。落ち着いた色合
いは空間を引き締め、お部屋をヴィンテージ感のある雰
囲気に彩ります。
もう1つは、やわらかな色合いのキャメルカラー。
ワークな印象ながらも、上質さを感じられる風合いが
魅力です。
こだわりを詰め込んだ「folk Seat cushion」
2024年3月6日より発売します。
というわけで、新作のシートクッションの企画経緯と、
コンセプト設計を紐解きました。
ペーパーコードチェアの良い部分と、布製チェアの良い
部分の両方を感じられるシートクッション。
清潔に使えるのも良いポイントですし、汚れたら買い
替えできるのも良いかなと思います。
僕自身も自宅で使用していますが、かなり気に入って
いて、いまでは無いと落ち着かないくらいの存在にな
ってくれています。
東京・京都・福岡店での展示はすでに開始しています
ので、気になる方はぜひ店舗へお越しいただき、体感
いただいたり、店舗スタッフにご相談いただければと
と思います。
Re:CENO product|folk seat cushion