センスのいらないインテリア【スタイリング編】｜長く愛せる家具の選び方（チェア編）

長く愛せる家具の選び方（第4回／全6回）

1. 基礎知識編
2. ソファー／リビングテーブル編
3. ダイニングテーブル編
4. チェア編（現在のページ）
5. 収納家具編
6. ベッド編

「長く愛せる家具の選び方」は、全6回の連載シリーズです。

どこからお読みいただいてもOKですが「基礎知識編」
では、家具選び全般に関する基礎知識をご紹介してい
ますので、先にお読みいただくのがおすすめです。

センスのいらないインテリアスタイリング編-｜長く愛せる家具の選び方（基礎知識編）

家具選び全般に関する「基礎知識」をご紹介します。

https://www.receno.com/pen/vasestyling/u4/2025-01-17.php

お部屋における「チェア」は、食事、仕事、勉強をは
じめとした日々の生活に欠かせないアイテムであり、
それと同時に、お部屋に「美しさ」という付加価値も
与えてくれます。

インテリアの源流とも言うべき名作チェアのデザイン
を多く輩出しているデンマークなどの北欧諸国では、
チェアを大事に使い、子供、孫へと引き継いでいくこ
とが一般的だそうです。

お部屋においても、もっとも重要な家具ともいえる
「チェア」について、この記事では

• 使い心地からのポイント
• 見心地からのポイント

の両方を詳しく紐解いていこうと思います。

ダイニングチェア選び　「使い心地」のポイント

ダイニングチェアの選び方について、まずは使い心地
の観点から、詳しく紐解いていきましょう。

毎日使うものですから、自分にあった快適なチェアを
選ぶのが大切です。

テーブルとの差尺は「26～30cm」に。

ダイニングチェアは、テーブルとの高さが合っていな
いと、姿勢が悪くなったり、窮屈さを感じたりと、使
い心地が悪くなってしまいます。

ですから、テーブルとの理想的な差尺をしっかりと把握
しておくことが大事です。

このように差尺が26cm未満になると、テーブルが低す
ぎる状態になり、足元が窮屈に感じたり、猫背になっ
てしまったりします。

これでは、脚を組むこともできませんし、食事にして
も、勉強にしても、常に猫背になってしまいます。

一方、差尺がありすぎるのも、いけません。

差尺が31cm以上あると、テーブルが高すぎる状態にな
ってしまい、食事がしづらかったり、座っていると圧
迫感を感じてしまいます。

理想的な差尺は、26～30cmの間

ということを理解しましょう。

差尺が26cm～30cmの間であれば、ちょうど良い高さ
となり、姿勢もよく、快適に過ごすことができます。

26～30cmという風に4cmの幅があるのは、身長や座高
などによって多少の許容を意味しています。

わずかな差ではありますが、不自然な姿勢が毎日続く
と体を痛めることにつながってしまいますので、きち
んと「26～30cmの差尺」になるようにテーブルと合
わせてチェアを選ぶようにしましょう。

ちなみに市販の家具での標準的な高さで言うと、

• テーブルは、天板の高さが68cm～72cm
• チェアは、座面の高さが43cm

が一般的なサイズです。

海外製のチェアなどは、海外の人の身長に合わせて座
面の高さが46cmなど高く作られている場合があります
ので、購入の際には注意しましょう。

「アームチェア」と「アームレスチェア」

続いての選ぶポイントとしては、アーム（ひじ掛け）
の有無です。

それぞれにはメリットとデメリットがありますので、
ご紹介いたします。

アームチェアのメリット

アームチェアは、アーム部分に肘を乗せることができ
るため、ダイニングチェアでありながら、ゆったりと
した座り心地を得ることができます。

本を読んだり、仕事をしたりする際に、アームがある
ことで、姿勢を保つことができます。

デメリットとしては、アームの広がりの分、横の椅子
との距離が取りづらかったり、アームの高さによって
は、テーブルの下にアーム部分を入れることができず
に、広いスペースを必要とする場合があります。

アームチェアを選ぶ場合には、

• 横の椅子との距離は取れるか
• アームはテーブルの下に入るか
• 入らない場合は、後ろの動線を確保できるか

を考慮してから購入するようにしましょう。

ちなみに、アームチェアであっても、しっかりとテー
ブルの下に収まる設計のものもあります。

ダイニングテーブルの天板の高さや、幕板の有無など
も確認し、チェアがどのくらい動線にかかってくるか
などを検討してから買うと良いでしょう。

アームレスチェアのメリット

アームレスチェアは、ひじ掛けのない椅子です。

アームがない分、アームチェアよりも横幅もスリムな
ものが多く、サイズもすっきりとしているので、小さ
なダイニングでも導入しやすいのが特徴です。

また、軽量のチェアも多く、子供や女性でも、取り回
しのしやすいのもメリットと言えるでしょう。

また、大きくないダイニングテーブルであっても、横
の椅子との距離を保ちやすいのも良いポイントです。

小さめのダイニングテーブルであっても、コンパクト
に使うことができます。

また、お子様が小さなうちは、自分の椅子があっても
すぐにママの膝に座りたがったりするもの。

アームがないことで、左右の出入りがしやすいため、
お子様が小さなご家庭などでは、アームが無いことが
使い勝手が良く、子育てがしやすくなる一面もあります。

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アームの有無は、それぞれ一長一短あります。

見心地のポイントでもご紹介しますが、ダイニングの
チェアはすべて同じもので揃える必要はありません。

アームチェアと、アームレスチェアを組み合わせて、
必要な脚数を揃えるのもも良いでしょう。

長く座る椅子は「座面の心地」をチェック

チェアの使い心地は、何と言っても座りやすいか、長
時間座っていても楽か、といった点が大切です。

座り心地には、座面の仕様が大きく影響します。

チェアの座面は、さまざまな種類があり、主なのは

• 布座面（ウレタン）
• 板座面（木そのまま）
• ペーパーコード

などです。

布座面

布座のチェアは、布の内部にウレタンが入っているの
が一般的で、クッション性があり、お尻のあたりが柔
らかな印象を受けます。

柔らかな座り心地を求める方にはおすすめです。

ただ、年月とともにウレタンがへたってくるので、
劣化とともに座り心地が悪くなりがちです。

劣化した場合には、布やウレタンを取り換える必要が
あり、わりと高額になりやすいのが難点です。

板座面

板座面は、木の板を使った座面のことです。

木製で丈夫なので、購入当初の座り心地から劣化して
いくことはありません。

ただ、木というのは硬いものですので、座り心地は
そのまま硬めです。

硬い座り心地はおしりが痛くなりがちですので、シー
トクッションなどを使うことで、柔らかさを出すのが
良いでしょう。

シートクッションは、布座面のチェアと同様に、中の
ウレタンがへたってきますが、比較的容易に買い替え
られるので、座り心地を長く保つことができます。

ペーパーコード

ペーパーコードは、紐を撚ったものを1本1本張り込ん
でいって座面を作るチェアのことです。

北欧の名作チェアなどで多く使われていることで、世
の中にもファンの多い座面です。

ペーパーコードはへたりがほぼ無く、絶妙にしなやか
な座り心地を、長く味わえます。

手作業で編みこんだ座面は美しく、見た目が良いのも
特徴のひとつです。

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座面については、この他にも様々な仕様がありますので、

• 実際に座ってみて、好みを確かめる
• 柔らかすぎるものは「劣化する」

という点に気を付けて選ぶようにしましょう。

ダイニングチェア選び　「見心地」のポイント

さて、続いては「チェアの選び方」を、見心地の観点
から紐解いていきましょう。

良いデザインのチェアをお部屋に入れることで、見心地
への影響はとても大きいです。

チェアの顔は「後ろ姿」

チェアを選ぶ時には、正面からの見た目を気にして、
デザインの良し悪しを選びがちだと思います。

しかしながら、実際にダイニングで見る時には、実は
チェアは、ほぼ後ろ姿しか見ることはありません。

ですから、実は「チェアの顔は、後ろ姿」なのです。

実際に名作家具などを見ると、背もたれ部分などの後
ろ姿のディテールを美しく仕上げているものが多いこ
とが分かります。

ですから、ダイニングチェアを選ぶ際には、正面から
だけではなく、後ろから見て

「きれいだな。」
「好きだな。」

と思うものを選ぶと、毎日の生活の中で、その美しい
姿をいつも楽しむことができます。

複数のチェアは「共通点」を持って選ぶ

一般的なご家庭のダイニングでは、2脚～4脚ほどの
チェアを並べることが多いでしょう。

その際に、2脚　もしくは　4脚をどのように揃えてい
くかは、迷うという方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、ダイニングのチェア組み合わせの基本を
ご紹介しましょう。

統一スタイリング

統一スタイリングは、同じデザインのチェアで揃える
組み合わせ方です。

2脚なら2脚、4脚なら4脚と、同じデザインのチェアを
揃えることで、全体として整然として、統一された印
象を与えることができます。

セミ統一スタイリング

チェアというのは、その形状によって、しっかりと
勉強や仕事をする時に向くものや、リラックスしたい
時に向くものなど、さまざま。

ですから、異なるタイプのチェアを入れておくことで
いろんなシーンで使い分けもできるようになります。

ミックススタイリング

異なるデザインのチェアを選ぶ際に気を付
けておく事柄をご紹介しておきます。

「共通点」を作るコツは、レピテーション

チェアにおける「ミックススタイリング」は、適当に
組み合わせてしまうと「バラバラ」とした印象を与え
てしまいます。

リセノのセオリーではおなじみの「レピテーション」
をうまく利用することで、チェアのミックススタイリ
ングも上手にハンドリングすることができます。

いくつかのレピテーション事例をご紹介します。

素材を揃える

デザインが異なっていても、統一感を感じさせる選び
方のひとつは、素材を揃えることです。

例えば「オーク材」という樹種の共通点を持たせてお
くことで、違うデザインであっても、統一感を与える
ことができます。

色を揃える

また、色を揃えるのも良いアイデアです。

ナチュラル色ならナチュラル色、ブラックならブラッ
クといった具合に、色に統一感を持たせることで、デ
ザインや樹種が異なっていても、統一感を感じさせる
ダイニングシーンにすることができます。

形を揃える

形はおなじデザインにしながら、色を別々にしたりす
ることで、遊び心を入れながらも、統一感を感じさせ
るダイニングにすることができます。

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2脚、4脚、6脚......　ダイニングに置くチェアの数は、
ダイニングシーンの広さによってさまざまだと思いま
すが、選ぶ際にどこかに「共通点」を持たせながら揃
えることによって、何脚であっても「遊び心と統一感」
を両立させることができます。

これは「レピテーション」のテクニックの応用ですの
で、以下の記事もご参照ください。

センスのいらないインテリアスタイリング編-｜インテリア選びはレピテーションを意識する

センス不要で、インテリアスタイリングを美しく仕上げる「レピテーション」のセオリーをご紹介します。

https://www.receno.com/pen/pointstyling/u4/2024-07-19.php

「名作家具」や「ヴィンテージ」という選択も

1952年に発売開始された「アントチェア」

チェアは、家具の中でも「名作」と呼ばれる製品が
とりわけ多いジャンルです。

特に、1950年頃～のミッドセンチュリー期には、世界
的にたくさんの名作チェアが生まれました。

ほんの一例ですが、例えば

• セブンチェア、アントチェア（デンマーク／アルネ・ヤコブセン）
• Yチェア（デンマーク／ハンス・J・ウェグナー）
• シェルチェア（アメリカ／チャールズ＆レイ･イームズ）
• STOOL60（フィンランド／アルヴァ・アアルト）
• etc...

などなど、枚挙に暇がないほどのたくさんの良質なデ
ザインのチェアが生み出されました。

これらのチェアたちは、誕生から半世紀以上経った
現在でも、継続的に製造されており、世界中で高い
人気を誇っています。

1955年に発売開始された「セブンチェア」

これらのチェアは、デザイン性に優れているとともに
多くのファンを世界中に持っています。

日本でもとても人気があり、インテリア好きな人たち
の間では「マスターピース」として、広く愛されてい
ます。

1950年に発売開始された「Yチェア（CH24）」

リセノでも、Yチェアなどは高い人気を誇っていて、
リセノスタッフの多くが、Yチェアを自宅に迎えて
います。

先日結婚したメンバーは、婚約指輪の代わりに2脚の
Yチェアを購入したほどです。

わたしの愛用品-婚約指輪の代わりに、僕がYチェアを贈った理由

Yチェアが、大切な人への贈り物にふさわしい3つの理由をお話します。

https://www.receno.com/pen/myfavorite/u32/2024-05-13.php

それほどまでに、名作チェアは価値の共有ができると
いうことでしょう。

1933年に発売開始された「STOOL60」

これらの「広く、長く、深く愛されている名作」の
チェアたちは、お部屋に取り入れることで、その歴史
の深みを感じることができます。

また、お部屋づくりに興味のある人は、必ず出会うの
がこれらの「名作チェア」ですので、お部屋に取り入
れることで、愛好家としての共通言語にもなります。

ですので、名作チェアをお部屋に取り入れるというの
も、チェア選びのひとつの選択肢と言えるでしょう。

また、デザイナー的な「名作」ということではありま
せんが、長い時間を経てきた「ヴィンテージチェア」
を取り入れるのも、良い一手です。

長い年月を経てきて、独特の「経年変化の美しさ」が
あるチェアをお部屋に取り入れることで、新品だけで
は味わえない「深み」のようなテイストをお部屋にプ
ラスすることができます。

ちなみに、名作チェアなどはいわゆる「ブランド品」
的な立ち位置ですから、価格的にはかなり高価なもの
が多いのが現状です。

名作チェアを取り入れる際には、たとえば4脚すべてを
名作チェアで揃えるのではなく、

4脚のうち1脚だけを「名作チェア」に差し替える

でも、十分に効果的だと思います。

セオリーのまとめ

チェアの選び方を「見心地」と「使い心地」の両方の
視点から紐解きました。

あらためてまとめますと、

スタイリングの課題

• チェアの選び方が分からない

解決のためのセオリー

• チェアの選び方を「見心地」「使い心地」の観点から学ぶ

スタイリングセオリーの効果

• チェアの選び方が分かる

です。

ダイニングは、お家の中心となる場所であり、そこに
あるチェアは、多くの時間を過ごす場所です。

選び方の基本を知ることで、納得のいく家具を選び、
長く愛せるチェアを見つけましょう。

さらに詳しくは、ぜひ店舗のプロスタッフにご相談ください。

リセノの各店舗には、リセノの提唱する「センスのい
らないインテリア」のセオリーについて研修を受け、
社内試験に合格したスタッフが在籍しています。

記事だけでは分かりづらいところや、具体的なセオリ
ーの使用方法などについては、ぜひ店舗にてスタッフ
にご質問いただければと思います。

※おかげさまで土日祝についてはたくさんのご来店を
いただく関係上、ゆっくりとご案内が難しい場合が
ございます。

平日などは比較的ゆっくりとご案内できますので、
宜しければご検討くださいませ。

各店舗の空き状況のご確認や来店のご予約は
以下よりお気軽にお問い合わせくださいませ。

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「ふつうのお家を、美しく」というテーマのもと、お部屋を美しくスタイリングするためのセオリーを提唱し、オリジナルの家具や雑貨を展開するインテリアブランドです。

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